債務整理後に住宅ローンを組むことができるのか? 債務整理後から住宅ローンを組むまでの道のりを辿ってみよう

man
自動車ローンの審査に落ちてしまいました……任意整理をしたせいでしょうか?
concierge
その可能性は非常に高いですね。
man
任意整理をすると二度と自動車ローンや住宅ローンを組むことができないのでしょうか?
concierge
そんなことはありません。任意整理をはじめとした債務整理をしても自動車ローンを組むことは可能です。
ということで、今回は債務整理後に自動車ローンをはじめとしたローンを組めるまでの流れについて紹介をします。今回の記事を読むことで、ローンの最難関である住宅ローンであっても組むことができるでしょう。

債務整理は多重債務者の救済手段です。一生、不利益をこうむることはありません。

債務整理とブラックリスト

債務整理の種類

債務整理とは、

  • 任意整理
  • 特定調停
  • 民事再生(個人再生)
  • 自己破産

この4種類があります。

近年では債務整理と同時に過払い金返還請求をおこなうケースが一般的です。

過払い金返還請求は、以前、金融事故情報としてブラックリストに名前が載っていました。ただ、金融業者が違法に収集した利息の返還請求をするのであるから金融事故にならないと金融庁から通達が出ています。そのため、過払い金返還請求をしたとしてもローンを組むのに影響を与えるということはありません。

債務整理の中の特定調停については利用するメリットとデメリットを比べるとデメリットの方が多く、内容も任意整理を債務者個人でおこなうようなものなので人気はありません。利用すると損をする可能性があり、おすすめできたものではないのです。

concierge
つまり、一般的に利用してメリットのある債務整理は、任意整理、民事再生(個人再生)、自己破産の3種類です。

ブラックリストの期間

債務整理をおこなうと、個人信用情報に金融事故を起こしたとして、信用情報機関に登録されます。個人信用情報に金融事故を起こした記録が載っている状態をブラックリスト状態というわけです。

債務者の情報が掲載されたブラックリストという名簿が存在するわけではありません。
信用情報機関は、

  • CIC
  • JICC
  • KSC

この3社があります。

クレジットカード会社が加盟しているのがCIC、消費者金融業者が加盟しているのがJICC、銀行や農協、信金などが加盟しているのがKSCになります。

ブラックリスト期間についてですが一般的に5年~10年間です。つまり、5年~10年間はローン審査に通りにくくなるわけです。通りにくくなるだけであり、ブラックリスト期間中であっても、ローン審査に通る人はいます。

また、ブラックリスト期間ですが、行った債務整理の手続きにより異なってきます。

債務整理の手続とブラックリスト期間の長さの関係

利用をおすすめする債務整理の方法、つまり、任意整理、民事再生(個人再生)、自己破産は、手間や借金の減額率が異なります。

任意整理

債務整理の中で、手軽におこなうことができて人気のあるのは任意整理です。債権者と交渉して納得した場合、和解となり任意整理が実行されます。

任意整理を選択した場合、「将来利息のカット」と「返済スケジュールの延長」という2種類の効果が一般的です。つまり、元金のみを返済し、最長で3年間返済期間を延長してもらうというのが任意整理です。

任意整理は一般的に5年間がブラックリスト期間になりますが、1つの厄介な誤解があります。それが、完済した時点を起点としてブラックリスト期間が始まるということです。

つまり、3年間かけて借金を完済した後、5年間のブラックリスト期間が始まります。債権者と和解をしてから5年ではなく、借金を完済してから5年です。

そのため、通算で8年間はローン審査に通りにくくなります。

民事再生(個人再生)

次に、民事再生(個人再生)ですが、住宅ローン特別条項という住宅ローン以外の借金を整理する債務整理の方法が利用できます。そのため、住宅ローンがありなおかつ他の借金返済で生活苦になった場合、利用する方が多くいます。

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裁判所へ申立てることにより実行されますが、書類などの作成については非常に困難であり、期限内に完成し提出しなければならない関係上、債務者が独力で民事再生(個人再生)を実行するのは不可能といえます。

民事再生(個人再生)は原則として債権者の同意を得ずに、強制的に住宅ローン以外の借金を圧縮することができます。

ただし、圧縮しても借金は3年~5年間をかけて完済しなければなりません。こちらも任意整理と同じく完済した時点からブラックリスト期間に入りします。

自己破産

最後に、自己破産ですが手続の方法はいくつかありますが、最長でも1年程度で自己破産の手続は終了します。そして、自己破産後10年間はブラックリスト期間となります。

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他の債務整理とは異なり、借金が全額免除になりますので返済期間というものがありません。免責許可決定が下ったときを起点にブラックリスト期間が開始されます。そして10年をすぎればローンを組むことができます。

自己破産の手続き中は破産者となり、就くことのできない職業がある、財産を自由に処分することができなくなる、居住地を制限されるなどの制限が加えられますが、免責許可決定が確定すると同時に復権をはたします。

選挙権がなくなる、住民票やパスポートに破産者として記録が残るなどデマがありますが、復権をはたすと自己破産をしていない人と同じ生活を送ることができます。ただし、1度自己破産をすると7年間は再度自己破産をすることができませんので注意をしましょう。

債務整理をするとなぜローン審査に通りにくくなるのか?

債務整理をすると、ブラックリスト期間が待っています。

債務整理の他に、

  • 長期滞納
  • 代位弁済
  • 強制解約

などをするとブラックリスト期間となります。

  1. 長期滞納とは、ローン・クレジットカード・携帯機種代金の割賦払い・奨学金などの支払を2ヶ月~3ヶ月以上連続して滞納をすると、1年~5年間はブラックリスト期間になります
  2. 代位弁済とは、ローンを滞納することで、ローン保証会社が代わりに返済をするという状況です。代位弁済をした場合、5年間はブラックリスト期間となります
  3. 強制解約とは、長期滞納を理由に金融業者から契約を打ち切られた状態であり、5年間はブラックリスト期間になります

つまり、債務整理や長期滞納などをする債務者は、お金を貸すと貸し倒れをする可能性が非常に高いというわけです。債務整理などをすると、ローンを組ませるにたる信用力を喪失するわけです。

基本はブラックリスト期間が終わる、俗にいう喪明けまで待つのがローン審査突破の最短ルートになりますが、ブラックリスト中であってもローン審査を突破できる人や方法というのは存在します。

債務整理後でもローン審査に通るケース

債務整理をはじめとした金融事故の履歴があったとしても、ローン審査に通過するケースというものがあります。

たとえば、公務員のような安定した収入か確実に入ってくる職業の人、弁護士や医師のような職にあぶれない人は、金融事故の履歴を持っていたとしてもローン審査に通過する可能性があります。
つまり、ブラックリスト状態だからといって確実にローン審査に落ちるというわけではありません。ブラックリスト状態ではない人と比べると圧倒的に不利という状態です。

concierge
そのため、ブラックリスト状態の人がローン審査に通過するのは非常に稀ではあるものの、可能性が0ではありません。

自社ローンと提携ローン

自動車ローンには、銀行から融資を受ける自動車ローンと販売店が債務者の状況を判断して分割払いに対応してくれる自社ローン、販売店と提携をしている信販会社にディーラーローンを依頼する提携ローンがあります。

自社ローンは販売店が信販会社を通すことなく、販売店が独自に分割払いを受け付けてくれる制度です。

そのため、債務者の信用情況を審査基準にして判断をして分割払いで販売をするわけです。通常の自動車ローンが販売時に信販会社の審査を受けて債務者が信販会社から融資を受ける形態になりますが、自社ローンの場合、販売店が直接購入者へ融資をする形になります。

concierge
債務整理をしていても、信用できると判断されたのであれば自動車ローンを組むことができます。ただし、この自社ローンを提供している販売店の数は多くないというのが現状です。

自動車ローンが完済するまでは車の所有権というのは、信販会社の物になっていますので、1ヶ月程度滞納した場合、車は没収されて売却されてしまいます。

中堅の消費者金融業者のフリーローン

中堅の消費者金融業者の場合、大手とは審査方法が異なります。大手は個人信用情報に事故情報が載っているだけで、審査で落とされます。しかし、中堅の消費者金融業者の場合、大手が審査ではじいた債務者であっても返済する見込みがあるのであれば、融資をしてくれます。

ただし、大手と比較をして金利が高く、取立ても厳しい傾向にあります。

ブラックリスト期間が明けてもすぐにローンは組めない

ブラックリスト期間が明けたとしてもすぐに、住宅ローン審査をはじめとした様々なローン審査に申込むのは少し危険です。

債務整理の任意整理ならCIC、JICCなら完済をしてから5年後に金融事故情報が抹消されます。つまり、借金をしていた記録も、債務整理をしていた記録も一切抹消されている状態なわけです。

一見、借金をしている記録がまったくない状態というのは審査のハードルが低そうなのですが実際は逆で、ローン会社からしてみると借金をしている記録が一切ないというのは、非常に評価が厳しくなり、ローン審査に申込んだとしても落ちる可能性が高くなります。

少し借金をして、その借金をきちんと返済しているという記録があった方が、ローン会社からしてみると信頼度が高くなるのです。

この理由としては、クレジットカードの利用を含め一切のローンの記録が無いということは、以前に金融事故を起こしている可能性があると、ローン審査の際に思われてしまうわけです。

concierge
日本でクレジットカードを持っておらず、一切借金をしていないというのは不自然であるといえます。公共料金でさえクレジットカード払いを採用しているのですから、クレジットカードの利用履歴を含め、取引履歴が一切ないということは、以前に債務整理をしていたという可能性が濃厚であると推理されるわけです。

そのため、ローン審査を考える場合、本丸の住宅ローンを審査や自動車ローン審査に、ブラックリスト期間の終了後直接申込むのではなく、携帯電話を新規購入して分割払いをして信用情報を作るといいでしょう。

特に携帯電話を新規購入し分割払いをするというのは、非常にハードルが低く、審査に落ちる可能性というのは低いので、まずは携帯の新規購入からはじめてみましょう。

クレジットカードの審査に申込む

携帯電話の分割払いでの購入をした後に、さらに信用情報を作るためにクレジットカードを作りましょう。

クレジットカードの審査でも、過去に一切のローン履歴がないと不審に思われて、審査に落とされてしまいます。そこで、携帯電話の分割払いをすることにより、信用情報に違和感がなくなりますので比較的すんなりとクレジットカードを作ることができるでしょう。

あくまでも、クレジットカードを作り、信用情報を作ることが目的になりますので、限度額を大きくする必要性というのは全くありません。

注意する点として債務整理で、自己破産などをしたときに借金を帳消しにしたクレジットカード会社のクレジットカードはブラックリスト期間があけても作ることができません。

これは、クレジットカード会社の社内データに個人信用情報として永遠に残るので、そのクレジットカード会社からは二度とクレジットカードを作ることができません。その点は注意しましょう。

クレジットカードの発行で、審査に落とされると、その情報は信用情報機関により共有化されます。そのため、一度審査に落ちた場合、短期間のうちに複数社のクレジットカード会社へ申込みをするのは止めるべきです。このようなことをしてしまうと「申込みブラック」という状態になり、他のクレジットカード会社の審査の難易度を上げる原因になります。
concierge
2社連続してクレジットカードの審査に落ちた場合、半年間期間をおいてから再チャレンジをしましょう。

自動車ローンなど低額なローンへ挑戦

concierge
クレジットカードを手に入れた後には、自動車ローンなどのわりと審査に通りやすいローンの審査を受けてみましょう。徐々に高額なローンを組んでいくわけです。

自動車ローンでなくてもいいのですが、返済することのできる範囲で利用して、滞納することなく確実に返済をしていきましょう。一度でも滞納をすると、その他、たとえば、住宅ローン審査などにも影響を及ぼしてしまいます。

つまり、自動車ローンを組む場合、絶対に支払える金額をわざと3分割などにして返済をしていけば、滞納することなくローンを完済することができ、その個人信用情報は優位な情報となります。

返済は確実にしましょう。数回、数日の遅れは誤差の範囲として認めてくれますが、これが毎回では信用情報に傷をつける可能性があります。ローンを完済したという記録作りのためのローンで、信用情報に傷をつけては意味がありません。

審査に通るか心配な場合、保証人や頭金を用意しておくと、審査通過の可能性は高くなります。

難関の住宅ローンの審査について

債務整理をした後に、借り入れをしたら確実に返済をするという信用情報を築きあげているうえ、ローンの完済実績があれば、債務整理をしたということが原因で、住宅ローンの審査に落ちるということは、まずありえないでしょう。

ただ、注意してほしいのが民事再生(個人再生)と自己破産をしたときです。住宅ローンの融資は通常銀行がおこなうものであり、銀行が加盟する信用情報期間はKSCです。KSCは10年間、官報という国が発行する公報誌を保管していますので、10年間はブラックリスト期間になります。

CICやJICCは民事再生(個人再生)や自己破産をしても5年経過で情報が抹消されます。ただ、CICはクレジットカード会社、JICCは消費者金融業者が利用する機関ですから、銀行が審査の際に利用するKSCのブラックリスト期間があけるまでは、住宅ローンを組むことができません。

CICやJICCのブラックリスト期間が明けてから住宅ローンの申込みをしても、公務員や医師、弁護士のように安定した収入が期待できるような国家に関係のある仕事や資格を持ってでもいなければ、住宅ローン審査通過は難しいでしょう。

つまり、CICやJICCのブラックリスト期間が明けてから、KSCのブラックリスト期間が明けるまでの5年間の内に前述したステップを踏んで達成していくことで、KSCのブラックリスト期間があけてすぐに住宅ローンの審査に申し込みをすることができると考えた方がいいでしょう。
また、申込みをする銀行ですが、消費者金融業者から借入をしていて自己破産をした場合、その消費者金融業者の親会社や、消費者金融業者に関係のある銀行だと、社内ブラックリストが消費者金融業者と銀行間で共有されていますから審査通過は不可能となります。

大手消費者金融業者の多くが、銀行となんらかの関係がありますので注意をしましょう。

まとめ

債務整理をしてもローンを組むことは可能です。しかし、ローンを組むためには、金融事故の情報が抹消される5年~10年は待つ必要があります。

また、金融事故の情報が抹消されたとしても、今度は借入と返済の実績も一切抹消されてしまいますので、携帯電話の分割払いなどを利用して実績を作る必要があります。

携帯電話の分割払いである程度実績を作ったら、次にクレジットカードを発行して実績を作りましょう。そして、絶対に分割して払える少額のローンの完済実績をいくつかつくり、自動車ローンや住宅ローンの審査に申込みをしてみましょう。

段階を踏んで申込みをしていけば、債務整理をしたとしても住宅ローンなどを組むことは可能です。

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