自己破産をしたら住宅はどうなるの?マイホームを守る方法はあるのか?

自己破産をした場合に気になるのが「マイホーム」の存在です。自己破産をすると、一定額(一般的には20万円以上)の財産は換価処分の対象になります。もちろん、マイホームは住宅ローンの有無にかかわらず換価処分の対象になるのです。では、自己破産をした場合、マイホームを守る方法があるのでしょうか?

自己破産とマイホームの関係

結論から申し上げますが、自己破産をした場合、どのような手段をとっても、マイホームを守ることはできません。
レアなケースとして、破産手続きの中でマイホームが売却されず、その上で、住宅ローンの債権者が競売にかけない場合、住宅を残すことができます。この2つが両立して成立した場合に限り住宅が売却されることはなく、そのまま残ります。しかし、前述のとおり極めて稀なケースであり、10人が10人利用できるものではありません。

そのため、原則として自己破産をした場合、住宅は99%処分されると考えてもらって間違いはありません。

仮に、自己破産寸前でマイホームの名義人を変更したとします。自己破産は自己破産を申し立てた人物の財産のみが処分されますので、名義人を移しておけばマイホームは守れるじゃないか、と思うでしょう。

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実際にそう考えている方がいますが、これは立派な財産隠しに該当しますので、破産法の規定する「詐欺破産罪」という犯罪行為になってしまいます。

しかも、財産隠しは「免責不許可事由」に該当しますので、自己破産の借金免除効果が発揮される「免責」を得ることができなくなるわけです。

結果、自己破産を申立てたのに、借金は残り返済をし続けなければならないという不利益が残ります。

知らないと言い張れば、なんとかなるのでは? と思うかもしれませんが、無理です。まず自己破産の直前に名義変更を行っている場合、管財事件という破産の手続きになります。

50万円~の予納金を裁判所へ納めなければいけないのですが、裁判所は破産管財人という破産事件のプロの弁護士を選任します。破産管財人弁護士の雇主は裁判所になりますので、あなたの有利になるようなことはしません。

あくまで第三者の立場から、財産隠しの有無を調べ、事前に名義変更を行っている事実に気が付いた場合、破産管財人の権限により、その取引を「否認」することができます。つまり、無かったことにするわけです。結果、不動産の名義人は破産者に戻りますので自己破産時に処分の対象になります。

このようにいろいろ書いてきましたが、はっきり言えることは、マイホームを守る努力はすべて徒労に終わりますので自己破産を決断した場合はマイホームを諦めることをおすすめします。

でも、マイホームだけは絶対に残したいという場合、自己破産ではなく民事再生(個人再生)という債務整理方法を利用するようにしましょう。

民事再生(個人再生)

民事再生(個人再生)は、民事再生法を根拠にした法的な措置です。この方法は、自己破産とは異なり、借金の全額免除はありませんが、借金の額により異なりますが借金を強制的に1/5まで減額させることができます。

そして、裁判所に提出した再生計画に基づいて、3年をかけて減額した分の借金を完済しなければなりません。しかし、自己破産とは異なり財産を処分する縛りがありませんので、マイホームを残したまま借金を減額することができます。

マイホームの住宅ローン返済中の場合、債務整理をすると債権者平等の原則に従い、すべての債権者を平等に扱わなければなりませんので、住宅ローンを融資してくれている債権者が相手でも強制的に借金を減額してしまいます。そうなった場合、債権者は抵当権を行使して、強制的にマイホームを競売にかけて売却をして優先的に債務を回収する権利があります。つまり、マイホームを失ってしまうわけです。

ですが、民事再生(個人再生)には「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」という制度があります。
住宅資金特別条項とは、住宅ローンを債務整理の対象から外して、その他の借金を1/5に減額することができるのです。そのため、住宅ローンがあっても抵当権を行使されず、住宅を守ることができます。

つまり、マイホームを残したまま、債務整理したいのであれば、「民事再生(個人再生)」がもっとも現実的です。ただし、民事再生(個人再生)は借金の総額が5000万円未満の方しか利用することができず、利用条件も厳しめになっています。

減額をしたとしても、借金の返済が大前提にありますので、安定した収入がない人は利用することができないわけです。また、債権者の意向で民事再生(個人再生)の実行が不可能になるケースもあります。

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債権者に有無を言わさず借金を全額免除にする自己破産よりは取り扱いが難しい面があるのも事実でしょう。

弁護士と認定司法書士

自己破産は、あまりおすすめしませんが、個人で裁判所に申立て手続きを進めていくことも可能です。民事再生(個人再生)も個人でおこなうことができますが、これは絶対にお勧めしません。理由として失敗する可能性が高くなるからです。メリットは安くて済む点にありますが、結局、個人再生委員という弁護士を裁判所が選任してしまうので弁護士費用を払うことになるでしょう。
この個人再生委員ですが、自己破産とどうよう依頼主は裁判所になりますので、あなたにとって有利になるように働いたりはしません。書類作成のサポートや助言をするだけで、書類の作成などはすべて自分でしなければならないわけです。つまり、正直いらない子です。
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東京地裁の場合は100%個人再生委員を選任してしまいますが、それ以外の地方裁判所の場合、弁護士を自分で雇っていると、個人再生委員の選任をしないところもあります。この傾向はその地方裁判所管轄の弁護士事務所へ相談をする際に聞くのが一番間違いありません。

自分で弁護士を雇った場合、文書の作成などすべてを代わりにおこなってくれます。個人再生委員とは異なり、あなたの利益が最大になるように働いてくれますので、あなたが相当不誠実な態度をとらない限り、頼もしい味方になるでしょう。

認定司法書士も民事再生(個人再生)を取り扱っていますが、あくまでも書類の作成の代行までしかすることができません。また、弁護士に依頼をしたときよりも個人再生委員が選任される可能性が高くなります。

ただし、民事再生(個人再生)の場合、弁護士へ依頼すると、自己破産をするときよりも高額な費用が発生します。住宅資金特別条項を利用する場合はさらに高額になりますが、住宅をどうしても守りたいのであれば、弁護士への依頼が確実でしょう。

下手に自分でおこなってしまうと、失敗すると可能性があり、失敗すると厄介なので民事再生(個人再生)は弁護士に依頼するのが確実です。

民事再生(個人再生)のブラックリスト期間

もちろんですが、民事再生(個人再生)は債務整理の1つになりますので、信用情報機関のブラックリストに名前が載ります。

信用情報機関は

  • CIC
  • JICC(日本信用情報機構)
  • KSC(全国銀行個人情報センター)

この3社が指定信用情報機関としてあります。

CICは完済日から5年間、JICCは民事再生(個人再生)をおこなった日から5年間、KSCは代位弁済がされた日から10年間となります。
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つまり、微妙にブラックリストの喪明けの日が異なるのです。もっとも早いのがJICCであり、ついでCIC、そしてKSCの順に喪が明けていきます。喪明けとは、ブラックリストから名前が抹消される日を指す俗語です。

民事再生(個人再生)のほうが、CICなどを見た場合、自己破産のほうが早く喪が明けます。ただ、どちらにしても似たような期間はブラックリストになります。

財産がない同時廃止事件の場合、マイホームは破産財団から放棄される?

自己破産の手続きは、同時廃止事件と管財事件(少額管財事件)の2に大別することができます。一般的に、マイホームを所有していると破産者の資産になりますので、破産財団というものに組み込まれます。

破産財団とは、破産法第2条14号に規定があるのですが、破産者の財産のことであり、破産管財人がその管理と処分をすることができるものです。つまり、破産財団とは換価処分して、債権者に弁済・配当する資産です。
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破産者が自己破産をした場合、原則として債権者は債権の回収をすることができなくなります。破産者により財産を隠されたり、勝手に売却されたりしてしまわないように、また特定の債権者が破産者の財産を総取りするのを防ぐために、破産者の財産を守るために破産財団として破産管財人が管理処分をするのです。

もちろん、すべての財産が破産財団に組み込まれるわけではありません。差押え禁止財産、たとえば日用品や99万円までの現金、20万円以内の自動車などは破産財団に組み込まれません。

話を戻しますが、マイホームを所有している場合、管財事件になります。破産管財人が裁判所により選任されて、マイホームは破産財団に組み込まれ競売の末売却されます。

しかし、住宅ローンがまだ残っていて、売却をしても住宅ローンを完済するどころか売却価格の1.5倍以上の赤字が出る場合、破産財団から放棄されます。

そして、住宅以外にめぼしい財産がない(現金99万円以内、20万円以内の財産程度)しかない場合、マイホームを持っていても同時廃止事件になります。つまり、財産を処分する破産手続きが廃止されます。そのため、破産管財人が雇われることもありませんし、マイホームが破産財団に組み込まれることもありません。

では、マイホームを守ることができるのかといえば、これも不可能です。マイホームには抵当権がついています。抵当権とは、住宅ローンの返済ができなくなったら債権者の私たちがマイホーム売るからね、という権利です。
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つまり、住宅ローンを完済しない限りにおいて住宅の所有権は債権者が持っており、自己破産を行った場合、マイホームは債権者により売却されてしまうわけです。

そのため、同時廃止事件になってもマイホームは結局のところ守ることはできません。

自己破産を検討するのなら、マイホームは真っ先に処分する

自己破産の90%は、同時廃止事件という手続きによっておこなわれています。同時廃止事件は、1万円~1万5,000円程度の予納金(裁判所に納めるお金)を支払えば実行することが可能な自己破産の手続きです。

一方、管財事件は破産管財人弁護士を雇いますので50万円~の予納金を裁判所へ納めなければ、手続きはスタートしません。

管財事件と同時廃止事件になる違いは「換価処分できる資産の額」の違いです。たとえば、マイホームを持っていれば、売ればお金になりますので、管財事件になります。同時廃止事件は換価処分するめぼしい財産がない場合に選択することができます。
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つまり、マイホームを持っていると、50万円の予納金を集めなければなりません。自己破産をする上で、50万円という大金を集めるのは、非常に困難です。そのため、そうそうにマイホームは処分してしまったほうがいいのです。

特に住宅ローンがある場合は、任意売却という手段を使って売却しなければならず、少々面倒です。

住宅ローン返済中の住宅の所有権は家主にはなく、債権者が持っています。そのため、債権者の許可を得てからではないと、売却することができません。勝手に売却することもできますが、その場合、競売にかけられてしまいます。
競売というのは時間がかかり、デメリットが非常に多く、競売で落札されてしまった場合、強制的にマイホームから退去しなければいけません。引っ越し費用などはすべて自腹を切ることになります。仮に居座った場合、強制執行により追い出されてしまいます。

一方、住宅ローンが残っている状態で住宅を売却する方法を任意売却といいますが、こちらを利用する場合、引っ越し費用を住宅の売却金額からねん出してもらえることがあります。特に自己破産を検討している旨を事前に債権者に報告しておけば20万円~30万円程度の引っ越し代金をねん出してもらえる可能性があります。あくまで可能性ですが、競売よりは圧倒的に高い確率で引っ越し代金を出してもらえるでしょう。

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つまり、自己破産をする上でマイホームは足かせ、邪魔な存在以外の何物でもありません。そうそうに処分して、住宅ローンの債権者へ返済をすることにより、印象がよくなり引っ越し費用を出してもらえる可能性があります。

偏波弁済にならないのか?

自己破産について調べていくと、任意売却をすると特定の債権者に利益がある偏波弁済になるのではなかろうかと考えると思います。

自己破産には、債権者平等の原則があります。すべての債権者に平等な額、お金が返済されなければなりません。

ですが、別除権というものがあります。別除権は破産法第65条により規定されており、破産法より上位の権利になります。

別除権は、簡単にいえば、マイホームを売却したお金を優先的に住宅ローンの債権者が回収してOKという権利です。そのため、任意売却をして手に入れたお金全額を住宅ローン債権者へ返済に充てることは破産法の観点から一切問題にはなりません。なぜなら、破産法が適用される前に、抵当権を結び、お金が返せなくなったらマイホーム売るね、という契約に双方が合意しているからです。

もちろん、返済して余ったお金を遊興にあてた場合、免責不許可自由に該当する可能性があります。ただ、現在の市場の動向からして新築を売却しても住宅ローンを完済したうえでおつりがくることはまずありえませんので、心配する必要はないでしょう。

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つまり、自己破産を決めたら、即座に住宅ローン債権者と交渉をおこない、任意売却をして、高額な資産であるマイホームを処分しておきましょう。

まとめ

自己破産をする場合、マイホームは99%の確率で処分しなければなりません。

レアなケースとして、破産手続きの中でマイホームが売却されず、その上で、住宅ローンの債権者が競売にかけない場合、住宅を残すことができます。この2つが両立して成立した場合に限り住宅が売却されることはなく、そのまま残ります。

上記のケース以外は、何をどう頑張っても自己破産という債務整理の手続きの性質上、処分しなければなりません。もし、自己破産をおこない、マイホームを処分したくないのであれば、民事再生(個人再生)を利用するといいでしょう。

民事再生(個人再生)は、借金を1/5まで圧縮できる代わりに、3年のうちに圧縮した財産を返済しなければなりません。利用するためには、必ず弁護士に依頼をしておこなわなければ、民事再生(個人再生)に成功しにくくなります。

自己破産の検討を始め、マイホームを持っていて、なおかつローンがある場合、任意売却という手段により、マイホームを売却してしまったほうが、自己破産は同時廃止事件になります。しかし、マイホームを所有した状態で自己破産をしてしまうと、管財事件になり裁判所へ50万円の予納金を納めなければならなくなり、自己破産の手続き開始自体が難しくなります。

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