債務整理の任意整理と自己破産の違いはどのような点? 債務整理ではどっちをえらべばいいのか?

任意整理と自己破産とはなにが違うのか? 任意整理と自己破産は債務整理の種類の一つになりますが、任意整理をするのと自己破産をするのでは、なにが違うのでしょうか。

イメージ的には自己破産の方が圧倒的に悪いと思いますが、自己破産と任意整理は具体的にどのように異なるのでしょうか。

任意整理と自己破産について

任意整理

任意整理は、裁判所を間に挟むことなく行う債務整理の方法です。

借金の当事者である債権者と債務者が話し合いを行い、借金問題に向けて解決を目指します。

任意整理をする際には、同時に過払金返還請求を行うのが一般的です。過払金が発生している場合、元金の減額をすることができます。

過払金が発生していなくても、任意整理を利用することで、下記の債務整理の効果を期待することができます。

  • 任意の債権者と話し合い、借金の減額をすることができる
  • 将来金利のカットをすることができる
  • 返済期間を3年~5年間まで延長をすることができる
将来利息とは、将来発生する利息になります。つまり、将来利息のカットをすることができれば、借金の30%~50%の減額効果を期待することができます。
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ただし、任意整理は必ず返済をしなければなりません。現在の借金の返済スケジュールをリスケジュールして、3年で完済を目指すものです。交渉次第では5年間まで期間を延ばすことができることもあります。

自己破産

自己破産は任意整理とは異なり、裁判所へ申立てることにより、手続きが開始されます。

任意整理とは異なり、任意の債権者のみと話し合いにて借金を減額するのではなく、条件を満たしていれば、ほぼすべての借金を帳消しにすることができます。逆に条件を満たしていなければ、借金の帳消しの手順が複雑になったり、自己破産をすることができなかったりします。その場合、任意整理や民事再生(個人再生)で借金を返済しなければなりません。
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帳消しにならない借金については、滞納している税金などが挙げられます。税金は納税の義務があるものですから、自己破産をしても免除にはなりません。

自己破産をしてしまえば、返済の義務がなくなります。ただし、20万円以上の財産を所有していると、それらの財産はすべて破産管財人という裁判所が選任した弁護士の指導のもとですべて処分換金をしなければならないデメリットがあります。

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とはいえ、全ての財産が処分の対象になるわけではなく、差押え禁止財産や自由財産の拡張という手続きをとることで、20万円以上の財産を手元に残すことも可能です。

つまり、自己破産を利用することで、下記の債務整理の効果を期待することができます。

  • 税金などを除き借金の帳消し

返済の義務がなくなりますので、債務整理の効果としては絶大なものがあります。

任意整理と自己破産の異なる点

ここからは、任意整理と自己破産の異なる点を紹介していきます。任意整理と自己破産は同じ債務整理ではありますが、債務整理としての効果は大きく異なります。

また、任意整理と自己破産を検討するのであれば、弁護士と司法書士のどちらに依頼をするべきなのかも紹介をしていきます。

1.実行後の借金の減少額

任意整理の場合

任意整理の場合、借金の元本の減額は原則ありません。そのため、元本を減らす方法として過払金返還請求を行います。過払金が発生しているのであれば、その分をすでに返済をしたことにして、元本を減額するのです。

過払金がなければ、元本の減額をすることはできません。任意整理でできることは、将来に発生する利息のカットによる減額しかありません。

しかし、同時に返済のリスケジュールもしてもらえる可能性がありますので、毎月の返済額は、実行前よりも楽になるはずです。リスケジュールの期間は原則3年間ですが、場合によっては5年間まで延長をすることができます。

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中には利息のカットは認めるけれど、リスケジュールには応じないというケースもあります。逆もあり、リスケジュールには応じるけれど利息のカットには応じないというケースです。

自己破産の場合

自己破産の場合は、税金以外など支払い義務のある借金以外でしたらすべて帳消しになります。

借金の減少額については、圧倒的に自己破産の方が多くなります。

2.債権者との関係

任意整理の場合

任意整理は、任意の債権者と交渉をすることができます。

たとえば、A、B、Cの3社から借金をしている場合、任意整理ならばA社、B社とは任意整理の交渉をして、C社は任意整理の交渉から外すということも、任意整理では可能です。

自動車ローンをC社から融資を受けているのであれば、C社と任意整理の交渉をしてしまうと、自動車を没収されてしまう可能性があります。その可能性を避けるために、C社を任意整理の相手から外し、債務整理をすることが、任意整理では可能です。

任意整理では特定の債権者との交渉をすることができるわけです。

ただし、任意整理は裁判所を間に挟んでいませんので、あくまでも当事者間の合意により借金問題の解決を目指すものです。そのため、任意整理の交渉に債権者が応じる必要性がないので、任意整理の交渉にそもそも応じない貸金業者というのも存在します。

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弁護士などに依頼をして、交渉に臨めば交渉のテーブルについてくれる可能性が高くなりますが、個人で任意整理の交渉をおこなうのはあまりおすすめできる手段ではありません。

自己破産の場合

自己破産の場合は、任意整理とは真逆ですべての債権者を対象にして強制的に借金整理をします。つまり、A、B、Cの3社からお金を借りていて、C社のみ自己破産の対象から外すということは不可能です。A、B、Cの3社すべてを自己破産の対象にしてしまいます。
また、自己破産をする前にC社のみに返済をすると偏頗弁済という免責不許可事由に該当する可能性があります。免責不許可事由に該当すると免責許可というものを得ることができません。免責許可を得ることができないと、借金の帳消しをすることができず、自己破産は完了しません。
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債権者は公平に扱うというのが自己破産の考えかたであり、特定の債権者のみに利のある行為というのは禁止されています。

3.手続きの簡単さ

任意整理の場合

任意整理が、債務整理の中ではもっとも手続きが簡単な方法であるといわれています。裁判所を間に挟みませんので、裁判所に提出する資料などを用意する必要もありません。

債権者と直接交渉をして、任意整理を進めていきます。

自己破産の場合

自己破産の場合、裁判所に提出する必要のある資料が、

  • 破産申立書・免責申立書
  • 陳述書
  • 債権者一覧表
  • 資産(財産)目録
  • 家計の状況

などがあります

一番厄介なものが陳述書になります。陳述書の記載事項は難しいのですが、

  • 借金をした理由
  • 経済的破綻に至った理由
  • 自己破産以外では解決できない理由
  • 経歴
  • 生活状況
  • 反省文
  • 今後の展望

といったことを書く必要があります。

この陳述書は非常に重要視されますので、短くまとめるのではなく具体的に書く必要があります。また、反省をしていることを素直に書くといいでしょう。

また、家計の状況などは過去2~3ヶ月程度の家計の収入および支出の細かい状況を記載します。同居している家族がいるのであれば、その家族の収支も必要です。

自己破産の場合、書類に不備や不審点、あいまいな点がありますと、裁判所が選任する破産管財人が陳述書どおりなのかをチェックします。

自己破産は手続きにより

  • 同時廃止事件
  • 管財事件

この2種類に分けることができます。

同時廃止事件は財産を持っていない人が行う自己破産の手続きになりますので、2ヶ月~半年程度で終わり、裁判所にも2回程度足を運べばいいという方法です。前述した書類に不備がなく、免責不許可事由に該当する可能性がないのであれば同時廃止事件となります。

一方、管財事件は裁判所が選任する破産管財人とともに債権者集会などをおこない、ギャンブルや浪費が原因で借金をした場合は、借金の一部を任意整理して返済をする必要があります。

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ただし、自己破産の約9割が同時廃止事件となり、管財事件になるケースは稀です。確実に同時廃止事件にする場合、個人で申立てをするのではなく、弁護士への依頼は絶対です。

弁護士へ依頼をしなくても、同時廃止事件ならば個人で手続きをすることは可能ですが、地方裁判所ごとに、同時廃止事件になる基準が異なってきます。

たとえば、大阪地裁の同時廃止事件なら現金99万円以下、20万円以下の財産、20万円以上の財産を持っていても同額のお金を納めれば按分弁済として所持していても同時廃止事件です。しかし、東京地裁の場合、現金33万円以上を持っていれば管財事件、按分弁済も認めていません。

このように、地方裁判所ごとに自己破産の運用方法が異なりますので、専門の弁護士に依頼をしなければ、管財事件になってしまう可能性があります。また、審尋という裁判官との面談にも弁護士は代理人として立ち会ってくれますので、有利に自己破産を進めることができます。

4.完了までの期間

任意整理の場合

任意整理の交渉期間は3~6ヶ月程度で完了します。

しかしながら、交渉期間は3~6ヶ月で終了しても、そこから3年間(36回払い)もしくは5年間(60回払い)の返済期間があります。この返済期間が終了しなければ、任意整理の完了とはいえません。

つまり、任意整理が完全に終了するには、3年~5年程度の期間が必要となります。

自己破産の場合

自己破産は同時廃止事件と管財事件、そして少額管財事件の3つに分けることができます。

同時廃止事件が完了するまでの期間については、2ヶ月~6ヶ月です。
ただ、特に問題がなければ2ヶ月で終わるのが同時廃止事件です。

そして、管財事件ですが半年~1年程度の期間がかかります。住宅などの不動産を持っている場合、任意売却や競売により売却をしなければならないため、期間が長くなるケースがあります。

少額管財事件は、弁護士に依頼をしていることが前提で利用できる管財事件の1つの形態です。すべての地方裁判所が採用しているわけではありませんが、採用している地方裁判所の場合は少額管財事件を選択するのが一般的です。少額管財事件の期間として4ヶ月~6ヶ月以内ですべての手続きが完了します。

自己破産の場合、返済する必要がありませんので、免責許可決定を裁判所が下した時点ですべて完了となります。

返済期間を含めた場合は任意整理の方が手続きの期間は長くなります。交渉のみをみれば、自己破産も任意整理もそこまで長さは変わりありません。

5.依頼をするのなら弁護士・司法書士

任意整理の場合

任意整理の場合、弁護士でも司法書士でも、依頼をするのであればどちらでも、そこまで変わりはありません。しかし、過払金返還請求を視野にいれて任意整理をするのであれば弁護士を依頼した方が有利でしょう。

なぜなら、司法書士は140万円以上、過払金がある場合は法律でその案件を扱ってはいけないということになっているからです。長期間、借金をしている場合、高額な過払金が発生している可能性がありますので、弁護士にはじめから依頼をしてしまった方が手間になりません。

ただし、債務整理に強い弁護士を雇わないと、司法書士よりも使えないケースがありますので、注意をしましょう。司法書士でも同じことが言えますが、得意不得意の分野があるため、しっかりと選ぶことが重要です。

自己破産の場合

自己破産の場合は、弁護士を雇うべきです。

自己破産は弁護士有利の条件が多々そろっています。たとえば、少額管財事件の利用ができる点です。少額管財事件は裁判所へ納める予納金の額が20万円程度で済みます。東京地裁では、即日面接という制度があり、同時廃止事件の場合は申立てをおこなった日に即日で自己破産の手続きの半分が終了します。

また、審尋の際には代理人として弁護士は同行をしてアドバイスをしてくれますが、司法書士の場合は代理権を行使することができませんので、裁判所までは同行しますが、アドバイスをすることができません。

これらのことから、自己破産をするのであれば、たとえ同時廃止事件というもっとも簡単な手続きだとしても弁護士へ依頼をするべきであるといえます。特にギャンブルや浪費が原因で自己破産する場合は免責許可を得るのが難しくなるので、弁護士と相談をして手続きを進めていくのが理想的です。

6.費用

任意整理の場合

任意整理の場合、費用は依頼をする弁護士や司法書士への報酬のみです。

法テラスの報酬基準を参考にしますが、着手金が32,400円、実費などが10,000円、合計42,400円となります。

債権者の数が増えるごとに着手金の額と実費等は高くなります。

たとえば、債権者が21社以上の場合は着手金が194,400円、実費等が35,000円、合計229,400円となります。

法テラスを利用した場合、減額報酬金はかかりません。

自己破産の場合の費用

自己破産の場合は、破産の手続きにより費用が異なります。また、地方裁判所によって予納金の額が異なりますので注意が必要です。予納金は現金一括で納める必要があり、予納金を納めなければ自己破産の手続きを始めることができません。

同時廃止事件の場合は1万円~1万5000円に、印紙代や切手代金などが別途発生します。

管財事件の場合は、下記の表の通りです。

負債総額予納金
5000万円未満50万円
5000万円~1億円未満80万円
1億円~5億円未満150万円
5億円~10億円未満250万円
10億円~50億円未満400万円
50億円~100億円未満500万円
100億円以上700万円

管財事件は債務の額により、異なります。

そして、少額管財事件の場合は、最低20万円です。少額管財事件も債務額や地方裁判所により金額が上下します。

別途、弁護士費用がかかります。弁護士費用は法テラスの場合、129,600円~275,657円に、実費が23,000円程度かかります。

費用については、複数の債権者を相手に任意整理をしなければ、任意整理の方が安く済みます。

7.利用条件

任意整理の場合

収入があり、返済能力がある場合でしか利用することができません。たとえば、収入が全くないのに、任意整理を利用するということはできません。

借金を作った原因というものは、任意整理では重視されません。ギャンブルや浪費が原因の借金であったとしても、任意整理をすることができます。

自己破産の場合

自己破産の場合「免責不許可事由」というものがあります。たとえば、ギャンブルや浪費が原因で自己破産をする場合は免責不許可事由に該当しますので、原則、自己破産をすることはできません。

ただし、ギャンブルや浪費が原因の自己破産であっても裁判官が裁量免責を下すことがあります。

他にも免責不許可事由に該当する可能性がある場合は、任意整理や個人再生などの債務整理方法を勧められます。

8.ブラックリストに載る期間

任意整理の場合

ブラックリストに載る期間については、任意整理の場合、任意整理の交渉が終わった時点でブラックリストに登録されるわけではありません。借金の完済が終わった時点から5年間がブラックリストに載ります。

任意整理中に他社からの借入をすることは、原則してはいけませんので、合計で8年間はブラックリストに載る期間と考えてもらって間違いはありません。

自己破産の場合

自己破産の場合は最長で10年間はブラックリストに載ります。

免責許可が下りてから10年間です。ブラックリストの期間を、任意整理と比べるとそこまで変わりはないでしょう。

9.官報掲載の有無

任意整理の場合

官報には掲載されません。

自己破産の場合

破産手続開始決定が下ったときと、免責許可の決定が下ったときの2回、官報に掲載されます

官報に掲載をされたとしても、一般人は官報という国が発行する広報紙に目を通すことはありませんし、仮に目を通しても毎日何十人も自己破産者の名前が載っていますので、そこから、ピンポイントで名前を発見することはほぼ不可能と言っていいでしょう。

自己破産と任意整理の大きく異なる点

自己破産と任意整理でが大きく異なる点として、自己破産は手続き中に「破産者」となることです。破産者になると、就くことのできる職業に制限を受けたり、資格の制限を受けたりします。

しかし、任意整理の方はそのような制限は一切ありません。

破産者については、免責許可決定を受けることで復権を果たします。そのため、復権を果たしたのちは、普通の人と変わりなく過ごすことができ、破産者のときに受けていた制限の一切が解除されます。

まとめ

自己破産と任意整理は両方とも債務整理というものになります。

任意整理の方が自己破産よりも実行することが簡単ではありますが、債務整理の効果としてはそこまで高くありません。自己破産の場合は実行するとすべての借金を帳消しにする効果があります。

しかし、自己破産を実行するためには裁判所へ申立てる必要があり、借金を作った原因がギャンブルや浪費が原因の場合、免責許可という借金の帳消しの許可を得ることができません。

一方、任意整理の場合はどのような理由で借金をしても利用することができます。

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