【注意】やる前に知るべき個人再生のデメリット。デメリットを理解してから個人再生を実行しよう!

目次

個人再生のデメリットを知る前に、個人再生の概略を知ろう

個人再生は2001年4月にスタートした、民事再生に関する分野の中でも比較的新しい制度です。

これまでは個人が返済に行き詰まった場合、自己破産をして資産も債務も全て清算するか、任意整理、調停で、貸金業者と合意ができた部分について条件変更をして元本等を返済するかしかありませんでした。

自己破産と任意整理や調停の差があまりにも大きかったので、その中間として、

  • 債務は元本も含めて大幅にカットするが、最低限の誠意として、一定額の返済は行う
  • 今の購入した住宅に住み続けられるよう、住宅ローンの部分は別枠で返し続ける
  • 自営業で、自宅兼事務所のため、自宅を処分されると仕事もできなくなる
  • 自己破産を行うと、申立から免責まで就けない職業がある
  • 自己破産を行うと、破産管財人が就いた場合郵便物の開封、確認をされ、ケースによっては出
     張、旅行、引っ越しに関し裁判所の許可を得る必要がある

など、さまざまな事情・心情に配慮し成立したのが、個人再生手続きです。

個人再生手続きは、デメリットも多く存在します。

ただし、デメリットの部分も債務整理に強い弁護士、司法書士にきちんと相談し、対応を行えば、マイナスを最小限に減らすことができます。

そのため、デメリットをしっかり踏まえたうえで、個人再生という選択肢が最適かどうかを、極力弁護士、司法書士と一緒に検討してください。

12個の個人再生のデメリットとは?

  1. 自己破産と異なり、一部例外をのぞき財産を処分されることはないが、3年~5年で支払える額の返済義務は残る
  2. 本人がきちんと返済額を積み立てることができるかを確認する履行可能性テストがある
  3. 官報に個人再生の情報が掲載される
  4. 連帯保証人が存在する場合、連帯保証人に返済義務が発生するなど、連帯保証人に大きな迷惑をかけることとなる
  5. 自己破産、任意整理以上に時間がかかることが多い
  6. 非常に複雑な手続きのため、弁護士・司法書士に依頼することが必須である
  7. 所有する現預金、各種財産(土地・家屋含む)、保険積み立てなどの評価額が大きいほど、返済総額も上昇する
  8. 個人再生申立後、毎月の収支を報告し、裁判所に返済できることを納得させる必要がある
  9. 原則返済は3年の期間となっており、5年は例外的
  10. 再生計画が認可され、3年~5年かけて債務を全て弁済した後さらに5年~10年は借り入れができない
  11. 再生計画の支払いが遅延した場合、これまでの全てが無駄になり、自己破産への移行を強いられる、元本、利息、遅延損害金も含めた一括弁済を請求されるおそれがある
  12. 住宅ローンを除く債務総額が5,000万円を超える場合は利用できない(=自己破産しかない)

個人再生のデメリットを一言でいうと、

「自宅、最低限の尊厳など守れるものもあるけれども、とても長い道のりになる」

と表現できます。

詳しくは各項目で解説しますが、個人再生手続きにかかる時間は、ともかく長いです。

半年~1年以上かかることは覚悟しておいた方がいいでしょう。

それでは、各項目について説明いたします。

1.自己破産と異なり、一部例外をのぞき財産を処分されることはないが、3年~5年で支払える額の返済義務は残る

自己破産と個人再生の一番の大きな違いは、「原則として」財産を処分されないことです。

かわりに、原則3年(例外的に5年が許可される場合もあります)で、清算価値以上の返済はしなければなりません。

具体的な額に関しては、仙台地方裁判所のサイトが参考になります。

ここから、返済の目安額をリスト化し、整理しましょう。

小規模個人再生手続の場合

債務の総額(住宅ローンを除く)

最低限の支払額

100万円未満

全部

100万円以上500万円以下

100万円

500万円~1500万円以下

総額の5分の1

1500万円~3000万円以下

300万円

3000万円を超え5000万円以下

総額の10分の1

給与所得者等再生手続の場合

Aで算出した金額と、自分の可処分所得額(自分の収入の合計額から税金や最低生

活費などを差し引いた金額)の2年分の金額とを比較して、多い方の金額。

この支払額は、あくまで最低支払額です。

債務者本人の資産額を踏まえて、これ以上の支払額になることもあります。

上記が返済額そのものと考えず、債務整理に強い弁護士、司法書士に相談して、自身の財産の価値の見込みと支払い義務見込みがどれくらいになるかの見通しを立ててください。

なお、実務上は給与所得者、つまりサラリーマンであっても、小規模個人再生手続が利用できます。

また、小規模個人再生手続の方が債務の減免額が多いので、小規模個人再生手続を利用する方が大半です。

あわせて、一部例外をのぞき財産を処分されることはないと書きましたが、例外が2つあります。

それは、住宅ローン、マイカーローンが残る住宅、車です。

まず、原則として、ローンの返済途中である場合、抵当権のある住宅やディーラーに所有権がある車については、住宅は競売、車については引き上げられます。

例外として、住宅ローンについては、「住宅ローン特則」という救済策が存在します。

これは、住宅ローンだけこれまで通り、もしくは返済計画を変更して支払い、残りのローンについては個人再生の対象とし、元本含め大幅にカットすることで、家だけは残そうという特則です。

例えば、住宅ローンの残りが2,000万、銀行借り入れ、消費者ローンなどの借り入れが800万円あったと仮定します。

この場合、住宅ローンについては、元本も利子もこれまでどおり支払い義務が残ります。金融機関との話し合いがつけば、返済計画の期間を長くし、支払額を減らすなどのリスケジュールの余地もありますが、きちんと全額払い終えなければなりません。

それ以外の800万円の借り入れの部分は、利子だけでなく元本を含め大幅にカットしてくれます。

ただし、住宅ローンの部分と再生計画の支払い、両方が問題なく支払えるだけの収入見込みがなくてはなりません。

もし収支計画で、住宅ローンと再生計画の支払いの両方が難しい場合は、自宅を処分することも覚悟する必要があります。

自宅を守るべきか、それとも返済負担を軽くするために自宅を任意売却などの手法で売却するなど他の手段をとるか、非常に悩ましいところです。

現在の収支や今後の返済計画も踏まえた上で、専門家の客観的な意見を踏まえた結論を出されることを強くお勧めします。

2.本人がきちんと返済額を積み立てることができるかを確認する履行可能性テストがある

個人再生手続きを裁判所に申し立てた時点で、すぐに個人再生が認められるわけではありません。

裁判所、弁護士、司法書士により呼び方は異なりますが、毎月返済にあてるお金を、きちんと貯金できるかという「履行可能性テスト」というものが存在します。

例えば弁護士に依頼した場合、積み立て専用の口座を作り、毎月いくらの額を積み立てていくのかの指示を受けます。

裁判所の方針により異なりますが、1~2ヶ月に1回、通帳のコピーを弁護士を通して裁判所に提出し、きちんと毎月定期的にお金を積み立てているかを確認されます。

これで、積立額が不十分だったり、一定しておらず、長期的な返済を続けることが難しいとみなされると、再生計画が不認可になるおそれがあります。

そうなると、これまでの手続きは全て無駄になります。

自己破産ぐらいしか、選択の余地はないでしょう。

そのため、履行可能性テストの期間中は、ともかく節約し、お金を稼ぎ、あらゆるお金を工面して返済口座にコツコツと入れていく必要があります。

個人再生の場合、弁護士に依頼した場合は、原則裁判所に出頭せず済むことが一般的ですが、代わりに通帳を通じて裁判所に再生ができそうな見込みがあるかを判断されます。

この期間は、再生計画が認可されるかという緊張感もあり、特に苦しいときかもしれません。

しかし、債務整理に精通した弁護士、司法書士であれば、依頼者の心情を配慮し、二人三脚で積み立てテストをクリアできるようアドバイスをしてくれます。

ぜひ、ひとりではなく、弁護士、司法書士に相談しながら積み立てを続けていってください。

3.官報に個人再生の情報が掲載される

個人再生を行うと、官報という政府の発行する新聞に、

  • 個人再生手続を開始したこと
  • 個人再生計画を認可した(不認可とした)

ことが、住所、氏名とともに掲載されます。

官報は、一般の人が目を通すことは少ないですが、金融機関、消費者金融、保険会社、信販会社など、お金に関わる仕事を行う会社は大抵目を通しています。

また、個人再生の場合は自己破産に比べ確率は低いですが、街金、ヤミ金などの特殊な金融業者からDMや連絡、FAX等があるおそれも皆無ではありません。

万一連絡があった場合は、絶対に無視するようにしてください。

4.連帯保証人が存在する場合、連帯保証人に返済義務が発生するなど、連帯保証人に大きな迷惑をかけることとなる

個人再生をする際に、絶対に気を付けてほしいのが、「連帯保証人」がついている借り入れはないか?ということです。

連帯保証人を一言でいうと、「借主に何かあれば、連帯保証人全員で残った借り入れを返してくださいね」という恐ろしい制度です。

また、「検索の抗弁権」「催告の抗弁権」というのが連帯保証人には存在しません。

「検索の抗弁権」とは、「まず債務者の財産を強制執行するなり取り上げてから俺に請求しろよ!」と対抗する制度です。

「催告の抗弁権」とは、借主が返せなくなりそうな場合、通常の保証人であれば、「まず本人に請求してくださいよ」と言えるのですが、連帯保証人の場合は、返せる返せない以前の時点で、連帯保証人にいきなり請求できてしまうという制度です。

どちらも、連帯保証人にとって重い制度であり、連帯保証人は、いざというときに実質借主とほぼ同等の責任を負わされることとなるのです。

仮に、3,000万円の借金に3人の連帯保証人がついており、3,000万円を借りた債務者が返せなくなった場合、それぞれが負担して、合計3,000万円を返す必要があります。

万一、3人連帯保証人がいても、2人が返せないからと自己破産すれば、残りの1人に3,000万円の債務がまるごと降りかかってくるのです。

近年、金融機関は、連帯保証人「人的保証をできるだけ減らそう」という方針を打ち出しています。

さらには、金融庁も一歩踏み込んで、法人の借り入れの場合、条件によっては経営者保証もなしで貸し付けることも推奨する方針を出しています。

【参考】金融庁 中小企業や小規模事業者の方へ ご存じですか?「経営者保証」なしで融資を受けられる可能性があります

しかし、これまでの借り入れの場合は別です。

債務者側から働きかけて連帯保証を外してもらうしかありませんが、返せなくなりそうな状況にある債務の連帯保証を簡単に外してくれるほど、金融機関もお人好しではありません。

そのため、特に昔の借り入れになればなるほど、連帯保証人(もしくは保証人)がついていないかをしっかり確認する必要があるのです。

そして、万一連帯保証人、保証人がついている債務(特に金額が大きい借り入れ、奨学金)などがあれば、債務整理に精通した弁護士、司法書士に相談し、連帯債務者へどう連絡するか、何か他にとりうる手段はないかなど、徹底的に連帯保証人、保証人にかかる負担を最小限に抑える方法を探る必要があります。

5.自己破産、任意整理以上に時間がかかることが多い

個人再生の場合、積み立てテストなどもあるケースが多いので、最短でも4~6ヶ月長いと一年程度かかるケースも想定しておいた方がいいでしょう。

また、個人再生申出者が個人事業主の場合、個人再生申立後も安定した収入を得ているかもチェックされますので、長引く傾向が強いです。

6.非常に複雑な手続きのため、弁護士・司法書士に依頼することが必須である

これまでの項目でも繰り返し述べているとおり、債務整理全般に強い弁護士・司法書士に依頼することが不可欠です。

実際、債務整理ではさまざまなケースが想定されるのですが、処理件数が多かったり、弁護士・司法書士が様々なケースを処理した経験があると、「こうすればこうなる」というパターンが蓄積され、よりよい解決方法を提示できるのです。

特に個人再生は、複雑でミスの許されない手続きです。

個人再生を行う場合、多くのケースで個人再生委員が就任し、特に弁護士がつかない手続きの場合は、個人再生委員が就いたり、個人再生委員の報酬が高くなる傾向にあります。

個人再生委員については、地裁により個別に運営されるため、地域ごとに様々なケースがあります。

札幌地裁のケースの場合、個人再生委員が選任される場合、31万2268円(個人再生委員の報酬+官報公告費用)がかかり、個人再生委員が選任されない場合、1万2268円(官報公告費用)がかかるため、弁護士費用が高いからと自分でやろうとしても、個人再生委員に支払う費用が莫大にかかってしまいます。

一方、東京地裁のように、弁護士、司法書士をつけていても再生委員が就任し、弁護士の場合は費用が減額されるというケースもありますが、おおむね弁護士をつけている場合は個人再生委員が就任しないか、委員の費用が減額されると考えておいてください。

(これも、必ず弁護士、司法書士に相談してください。)

なので、自分でやろうとするのではなく、弁護士等専門家に依頼することが不可欠であることを、改めて強く強調します。

7.所有する現預金、各種財産(土地・家屋含む)、保険積み立てなどの評価額が大きいほど、返済総額も上昇するケースがある

>「清算保証価値の原則」という考え方が個人再生には存在します。

前述の、最低弁済額はあくまで、「最低」であり、「清算価値」、つまり「破産した場合」以上の返済はしないといけないということです。

これも、借金の総額や資産の総額により、大きく額が異なるため、債務整理に強い弁護士、司法書士に相談することが不可欠です。

8.個人再生申立後、毎月の収支を報告し、裁判所に返済できることを納得させる必要がある

個人再生申立前及び申立後は、毎月の収支(特に収入)及び積み立て状況を裁判所、個人再生委員がいる場合は個人再生委員に報告し、きちんと向こう3年~5年の返済ができると相手方に認識してもらわなければなりません。

特に、収入の変動が大きい自営業や、歩合制の業務の場合は注意してください。

9.原則返済は3年の期間となっており、5年は例外的

個人再生の場合は、原則は3年間で完済することとなっており、5年間での返済を希望する場合は、その事情を付記する必要があります。

これも債務整理に強い弁護士、司法書士であれば、「このように書くと裁判所も納得してくれる」という事例を蓄積していますので、的確にアドバイスしてくれます

10.再生計画が認可され、3年~5年かけて債務を全て弁済した後さらに5年~10年は借り入れができない

再生計画認可後、3年~5年で債務を弁済するわけですが、この債務を全て弁済した後も、信用情報は5年~10年残りますので、あわせて8年から15年は新規の借り入れが極めて難しくなります。

ただし、債務者に連絡し了承をもらえば、債務の弁済期間を早めることはできますので、信用情報を早く回復したい場合は、債務の繰り上げ返済も検討してください。

11.再生計画の支払いが遅延した場合、これまでの全てが無駄になり、自己破産への移行を強いられたり、元本、利息、遅延損害金も含めた一括弁済を請求されるおそれがある

再生計画の支払いが遅延した場合、その金融機関や消費者金融から一括弁済を請求されたり、どうしても払えない場合は自己破産や債権者との再度の話し合いなどをせざるを得ません。

例外的に、4分の3の債務を弁済しており、かつ、病気や失業などのやむを得ない事情がある場合は、「ハードシップ免責」といい、残りの借金の返済義務を免除されるケースもあります。

ただ、これについても黙っていては適用されませんので、弁護士、司法書士に相談し、手続きに関して相談すべきです。

12.住宅ローンを除く債務総額が5,000万円を超える場合は利用できない(=自己破産しかない)

個人再生の対象となるのは、「住宅ローンを除く」債務総額が5,000万円以内のケースです。

5,000万円を超える場合は、自己破産しか選択肢は残されていません。

ただ、個人の場合、住宅ローン意外で5,000万円を超える債務を負うケースというのはレアです。

以上、12項目について、個人再生をやる前に知るべき個人再生のデメリットを説明しました。

どの点においても、特別に債務整理に強く、様々なケーススタディを持つ弁護士・司法書士に相談し、しっかりと疑問点、不安点を潰し、弁護士・司法書士と二人三脚で個人再生に向かうことが重要です。

ぜひ、このページをご覧になった方が、無事個人再生を完了させる一助となれば幸いです。

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