ということで、今回は債務整理をした後に住宅ローンを組むことができるのか、また債務整理後、住宅ローンをすぐに組む方法も紹介します。この記事を読めば、債務整理をしても住宅ローンを間違いなく組め、新しい生活を送ることができるでしょう。
目次
住宅ローンの審査で重視されるもの
まずは、住宅ローンの審査で何が重視されるのかを見ていきましょう。
住宅ローンは数千万円単位の高額な金額の借入となりますので、融資をする銀行というのは多角的に、その人物にお金を融資しても大丈夫なのかを検討・審査します。
- 申込人の収入について
- 申込人の職種・どのような企業に勤めているか・勤続年数はどれくらいか
- 税金や公共料金・年金などの未払い、滞納の有無
- 借入時の年齢
- 本人の健康状態
- 信用情報機関に金融事故情報が登録されているか
このようなことが審査され、住宅ローン審査通過の可否が決定します。
たとえばですが、収入が少なければ、融資を受けることのできる金額も少なくなります。一般的に住宅ローンはローンの返済負担率が35%未満である必要があります。年収の35%以上を借りようとしますと、審査に落ちやすくなります。
勤めている企業にかんしても、大企業や公務員といった絶対に破産やリストラされず安定して収入が入る企業の方が有利になるでしょう。また、医師や弁護士のような国家資格を持っていないと就くことのできない仕事に就いている人も住宅ローンの審査では有利になります。
ただ、勤めている年数が短ければ、審査に通りにくくなります。最低でも3年以上継続して勤務していなければ審査に通りにくいです。
正社員や派遣社員という雇用形態も審査に影響があります。正社員の方が非正規社員よりも失業するリスクが少なくなりますので、審査には通りやすくなるでしょう。
また、年齢ですが一般的にローン完済の年齢が80歳未満であれば、審査において問題視されることはありません。
金融事故情報とはいったいなにかといえば、債務整理やローン・クレジットの返済を滞納したという情報のことです。
金融事故と債務整理について
債務整理とは
- 任意整理
- 民事再生(個人再生)
- 特定調停
- 自己破産
これらになります。
この中で、特定調停については現在あまり利用されていませんので、特定調停を抜いた3種類が現状で利用される債務整理であるといます。
債務整理をしますと信用情報機関に金融事故を起こしたとして登録されます。
- CIC(株式会社シー・アイ・シー)
- JICC(株式会社日本信用情報機)
- KSC(全国銀行個人信用情報センター)
になります。
現実的に利用できる3つの債務整理を利用した場合、信用情報機関に債務整理をした事実が登録をされます。登録をされた状態を一般的にブラックリストに載るというのです。本当にブラックリストなるものは存在しません。
任意整理をした場合
債務整理の中でもっともポピュラーで簡単なものが任意整理です。
任意整理をした場合、JICCには任意整理をしたという事実が記載され、任意整理が完了して以降5年間は金融事故を起こしたとして、住宅ローンの審査には通らなくなります。
CICとKSCについては、任意整理をしたとしても金融事故情報として登録はされません。しかし、任意整理をする前に連続して3ヶ月以上滞納をした場合は5年間の金融事故になります。
また、KSCの場合は保証会社が任意整理の通知を受け、銀行へローン保証会社が代位弁済(代わりに返済)をしてしまうことがあります。その場合、代位弁済をしたという記録が5年間金融事故情報として残ってしまうのです。
民事再生(個人再生)
そのため、民事再生(個人再生)を利用した人が新規で住宅ローンを組むというケースは、そこまで多くあるとは考えられません。
民事再生(個人再生)は、裁判所へ申立てることでおこなうことができ、実行に際しては債権者の同意を必要としません。
債権者が異議申し立てをする機会が「再生計画案書面決議」にてありますが、「不同意の議決権者の数が2分の1未満であり、それらの債権額が2分の1以下であれば可決」となります。
民事再生(個人再生)をした場合も信用情報機関に事故情報として記録されます。この記録される期間につきまして、下記の通りです。
- CIC:載らない
- JICC:5年間
- KSC:10年間
特にKSCについては10年間と長くなります。KSCは全国銀行個人信用情報センターというくらいなので銀行はほぼ加盟しています。
そのため、民事再生(個人再生)をした場合、10年間は住宅ローンの借り換えなどをするのが難しいと考えて方がいいでしょう。また、民事再生(個人再生)に関しても3年間の再生計画にもとづき減額した借金の返済をしていきます。そのため、実際に住宅ローンを新規で組めるようになるまでには、合計で13年間は待つ必要があるわけです。
自己破産
税金や保険料・故意で起こしてしまった事故などの損害賠償金は帳消しになりませんので注意をしましょう。
自己破産は金融事故の中でももっとも重いペナルティが課せられます。そのため、他の債務整理よりも事故情報が消えるまでには時間を要すことになるでしょう。
- CIC:5年
- JICC:5年
- KSC:10年
住宅ローンと関係のあるKSCは、民事再生(個人再生)と同じく10年間です。
しかし、民事再生(個人再生)とは異なり、3年間の再生計画を実行する必要がありませんので、民事再生(個人再生)よりも短期間で住宅ローンを新規で組むことができるでしょう。
債務整理後10年で住宅ローンを再度利用することができる
債務整理した銀行・会社とは関係のない銀行を利用する
債務整理をしたからといって一生、住宅ローンを組むことができないというわけではありません。
たとえばですが、アコムは三菱東京UFJ銀行のグループに属していますので、アコムから借入をおこない債務整理をした場合、三菱東京UFJ銀行から融資を受けることはできなくなります。
消費者金融業者と銀行グループ
消費者金融機関 | 銀行グループ |
アコム | 三菱東京UFJ銀行 |
プロミス | 三井住友フィナンシャルグループ |
ノーローン | 新生銀行 |
モビット | 三井住友銀行 |
アイフル | なし |
このように、銀行が貸金業に参入するために消費者金融業者をグループ企業化しています。
見落としがちな点ですから注意をした方がいいでしょう。
情報開示請求をおこない金融事故記録の確認
債務整理をした場合、5年~10年は銀行から住宅ローンを融資してもらうのは難しくなります。
たとえば、任意整理の場合では完済をしてから5年なので返済期間の3年間も合計して8年間は住宅ローンの融資が難しくなる可能性があるわけです。
そのため、住宅ローンを申込む前にはCIC、JICC、KSCから事前に自身の信用情報を手に入れ信用情報を精査するといいでしょう。
- CIC:窓口・郵送・ネットにて開示請求が可能
- JICC:窓口・電話・郵送などで開示請求が可能
- KSC:郵送で開示請求が可能
特に住宅ローンの場合はKSCからの情報開示請求をしてみるのが一番です。
KSCが一番、金融事故情報を載せている期間が長いので、KSCで金融事故情報が消えていれば、まず間違いなくCIC、JICCでの金融事故情報は消えています。
短期間に申込みを連続して行なわない
1つの銀行に住宅ローンの申込みをおこない、落ちた場合、なぜ審査に落ちたのかわからず、複数の銀行へ住宅ローンの申込みをしてしまいますと、申込みブラックと呼ばれる状態になります。
短期間にいくつもの銀行へ審査の申込みをして、ことごとく落ちているということは何かしらのリスクが申込人に存在していると考え審査がより厳しくなり、半年間は審査の通過が難しくなります。
クリーンなクレジットヒストリーは危険
若ければクレジットカードを持っていないと考えられますが、住宅の購入を考える人物のクレジットヒストリーが真っ白という場合、以前、債務整理をした可能性があるとして銀行は審査で落とすことがあります。
頭金を準備しておく
債務整理をして、住宅ローンの申込みする場合、頭金を用意しておくことで審査に通りやすくなります。
また、頭金を用意することで返済比率は少なくなります。返済比率は25%未満であれば審査に通りやすくなるでしょう。
住宅ローン返済は税引き前の年収の4分の1にするようにしておけば、住宅ローンの債務整理という憂き目を避けることができるはずです。
債務整理後、すぐに住宅ローンを組みたい場合
家族の名義で住宅ローンの申込みをする
これは、借金は主債務者のみに返済の義務があり、配偶者や子供、親という理由で借金の返済をする義務はないのです。
そのため、夫が債務整理をしていても妻が正社員で安定した収入があれば住宅ローンを妻名義で住宅ローンを申込めば、債務整理をした後すぐにでも、審査に通り融資をしてもらえるケースがあります。
引っ越しを3回する
3回以上6年間で引っ越しをすること、つまり、住所の変更を3回おこなうことで信用情報機関から情報が出なくなることがあります。
3回引っ越しをしても信用情報機関から情報が消えるわけではなく、出なくなることがある程度なので、引っ越し費用を貯蓄に回し10年間待ち、頭金を用意して銀行で住宅ローンを融資してもらった方が現実的であると考えます。
こんな手段もあるよという程度の話です。
まとめ
債務整理をしたら2度と住宅ローンを組むことができないというわけではありません。
信用情報期間の金融事故情報が抹消される5年~10年間の間は、住宅ローンを組むことができなくなるだけです。
- 任意整理
- 特定調停
- 民事再生(個人再生)
- 自己破産
この4つがありますが、特定調停にかんしてはあまり利用者がいません。
そのため、任意整理、民事再生(個人再生)、自己破産の3つが債務整理の一般的な手法です。
- 任意整理:5年
- 民事再生(個人再生):5年~10年
- 自己破産:10年
この年月が経過しない限り、末梢されることはなく、この期間中に住宅ローンを組むことは困難になります。
また、債務整理時に利用していた会社や銀行からは2度と融資を受けることができないので、別の銀行で口座を作り金融事故情報が消えるまでの期間を待ちましょう。
金融事故情報が消えたかどうかを判断するためには、信用情報機関へ情報開示請求をすればわかります。住宅ローンを考えている場合はKSCへ情報開示請求をおこないましょう。
もし、債務整理をしてすぐに住宅ローンを組みたい場合は、債務整理をした人物ではない家族が住宅ローンの申込みをすると、住宅ローンを融資してもらえる可能性があります。