債務整理を考えているけれど、債務整理を実行してしまったら、場合によってはすべての財産を失ってしまう。家族に大きな迷惑をかけてしまう、そう考えて債務整理をせずに無理に借金を返済していき、体を崩してしまう方もいるでしょう。
また、ご近所さんの目というのも気になります。債務整理をしたなんて噂を立てられてしまっては、白い目で見られてしまうかもしれないと不安になってしまうはずです。
今回は、債務整理をすると家族にどのような影響があるのかを解説します。債務整理をする上で気になる家族への影響がこの記事で解決するはずです。
目次
家族に迷惑のかかる債務整理について
債務整理と一言にいっても、
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
この3つの種類があります。
特定調停というものもありますが、あまり利用されていませんし、任意整理と内容自体はそこまで変わりませんので、特定調停については、あえて記載はしていません。
- 自己破産
- 個人再生
- 任意整理
の順番になるでしょう。
ただ、自己破産以外はそこまで家族に迷惑のかかるものではありません。
自己破産は家族にどのように迷惑がかかるのか?
自己破産をすることで、迷惑がかかるのは、持ち家や車を持っているときです。
つまり、持ち家や車を処分しなければなりません。
そのため、自分名義の持ち家や車を持っている場合、家族に影響を与えてしまいます。また、高額な財産の処分もしなければなりません。
また、車については査定額が20万円以下の場合、換金処分の対象にはなりませんので、処分する必要はありません。ただし、ディーラーローンを利用して自動車ローンを返済中の場合、債務整理の自己破産や個人再生をしてしまいますと、車は没収されてしまいます。
自己破産をする場合の注意点
自分名義の財産を債務整理する前に家族名義に変更すれば、自己破産をしても持ち家などを処分しなくてすむのでは? と考える方もいますが、それは財産隠しに該当しますので、禁止されています。また、罪に問われることもあります。
持ち家を合法的に残すのであれば、不動産リースバックの利用、親子間・親族間売買を利用して、適正な価格で持ち家の所有権を譲渡して、賃貸料金を支払い、現在の家に住み続けるという方法が現実的です。
ただし、不動産リースバックは住宅ローン返済中の場合、利用できるケースとできないケースがあります。
利用できないケースですが、住宅を売却しても住宅ローンを完済することができないときです。
不動産リースバックを利用して住宅売却できるケースは、不動産リースバックで住宅ローンを完済できるときです。住宅ローンを完済することができれば、債権者はその売買取引に文句をつけることはありません。
また、親子間・親族間売買ですが、銀行で住宅ローンを組むことが難しいという難点があります。通常、親子間・親族間で不動産を売買しませんので、住宅ローンの融資は厳しくなり、現金一括購入しか方法がなくなる可能性があります。
そのほかの債務整理は家族に迷惑をかけない?
自己破産についてですが、前述したように一定額以上の財産を処分しなければなりません。もし、自身が持ち家の名義人であるのであれば、住宅を処分する必要があります。もし、持ち家の名義人が自己破産者であれば問題となりますが、そうでなければ特別家族に迷惑をかけるということはないでしょう。
では、そのほかの債務整理は家族に迷惑がかかるのでしょうか? 答えとしては一切家族に迷惑がかかるということは現実問題ありえません。むしろ、債務整理をせずにいる方が問題は多くなってくるでしょう。
任意整理の場合
まず、債務整理の中ではもっとも難易度の低い任意整理を見ていきましょう。任意整理は債務整理の中で難易度がもっとも低く選択する人が多いポピュラーな方法であり、「債務整理=任意整理」と考えられています。
任意整理が家族に与えるデメリットや影響ですが、ほとんどないといえます。
任意整理を実行した本人は信用情報機関の個人信用情報に任意整理を行ったという記録が5年間残ります。また、任意整理を実行して借金を完済してから5年になりますから、最短で8年間はクレジットカードや消費者金融業者、銀行から借金をすることができません。
ただし、クレジットカードなどの審査を必要とするカードを作ることは難しいのですが、デビットカードのような審査を必要としないカードであれば、簡単に作ることができます。
家族の信用情報まで傷はつかない
本人の借金と家族の借金は、まったく別物であり、債務整理をしたからといって家族全員がクレジットカードを作るのが困難になるとか、新しく借入をすることが難しくなるということはありません。
個人再生の場合
個人再生の場合も家族に与える影響はありません。自己破産のように借金の帳消しはできませんが、個人再生を利用すれば住宅ローンを守りながら、その他の借金を原則5分の1まで減額することができます。
個人再生については、利用をすると3年間で減額された借金を返済する必要は出てきて、通算で13年間は信用情報機関のブラックリストに名前が載りますが、住宅を売却することなく借金を返済することができます。
個人再生は、裁判所を利用して行う手続きであり官報に名前が載ります。官報を収集している一般人というのは、まずいませんので周囲の人にばれる心配はありません。
家族への影響が大きく出る場合
債務整理をしても、自己破産をしなければ家族に極端に影響が出るというわけではありません。しかし、場合によっては債務整理をすることで、また債務整理をしないことで家族に大きなデメリットが生じることがあります。
- 家族が保証人になっているとき
- 借金をしたまま債務者が死亡をした場合
家族が保証人になっている場合
借金をする際に、保証人を必要とする場合があります。主債務者のみでは信用が足らないので保証人、この場合は連帯保証人を貸し倒れしたときの保証のために金融業者は用意するように言ってくることがあります。
たとえば、勤務歴が1年未満の場合などは保証人が必要です。これは債務者に信用がないからであり、3年以上継続して同じ会社に勤務していれば保証人を求められるということはないでしょう。
そして、保証人を依頼して引き受けてもらいやすい相手として真っ先に思い浮かべるのは、身近な家族であると思います。
その場合、万が一借金の返済に行き詰まり債務整理をおこなうと保証人になってもらった家族に請求が行くことになります。
個人再生と自己破産の場合は、主債務者が個人再生や自己破産をした場合、問答無用で請求がきます。個人再生なら減額された分の請求が来ます。そして、自己破産なら主債務者の借金全額の請求が来ます。
個人再生や自己破産をした場合、期限の利益を喪失しますので、借金は全額一括返済しなければなりません。そのため、連帯保証人になったことが原因で保証人も個人再生や自己破産をするケースがあります。
離婚をしても保証人の義務は残る
保証人の義務と婚姻関係というのは全く関係のない話になりますので、婚姻関係の有無で借金が請求されるか、されないかが変わるということはありません。
借金をしたまま債務者が死亡をした場合
債務整理を考える人の中には、家族に迷惑をかけまいとして、借金をしたこと自体を内緒にしているケースがあります。しかし、借金の返済中に主債務者が死亡してしまうと、家族に債務整理をしていた事実というのはばれてしまいます。
しかも、借金も立派な財産になりますので、相続の対象になるのが原則です。遺産は家族に相続されます。相続される遺産は、家や預貯金のみならず、借金もマイナスの財産として相続されます。主債務者が死亡したからといって、借金が自動的に消えるということはありません。
マイナスの方が多い財産を無理に相続し、債務整理の自己破産をしてしまっては、結局のところ手続きが煩雑となっただけで何の解決にもなりません。
債務整理をした家族と同居しているケース
債務整理を行ったとしても、家族の信用情報には、まったく傷はつきません。しかし、場合によってはクレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることが、債務整理をした家族が同居していることで難しくなるケースがあります。
なぜかと言いますと、信用情報機関の個人信用情報には、名前や住所、電話番号というものが載っています。そのため、金融事故である債務整理を実行したことのある人物と同じ住所、同じ苗字、の人物がクレジットカードの審査やローンの申し込みをしてきた場合、申込者と債務整理をした債務者が生計をひとつにする家族である可能性があると金融業者が考え、審査が厳しくなる可能性が高くなるわけです。
ただし、このようなケースというのは極めて稀であり、債務整理をした際に迷惑をかけた金融機関へ、家族の別の者が借入を依頼するようなケースでなければ、心配する必要はないリスクであるといえます。
ちなみに、債務整理の個人再生や自己破産をして借金を帳消しにした金融業者からは、ブラックリストが解除されたとしても、再度借入をすることはできません。なぜかといえば、信用情報機関の個人信用情報とは別に、社内の顧客リストがあります。
家族に内緒で債務整理をすることは可能か?
つまり、任意整理の場合、家族に内緒で実行することは可能です。
個人再生や自己破産の場合、家族にばれないように行うのは難しいのですが、不可能ではありません。
まとめ
- 自己破産
- 個人再生
- 任意整理
の順番です。
特に持ち家を持っている場合、債務整理の自己破産をしますと、持ち家をはじめとした一定額以上の財産を処分されてしまう可能性があります。そのため、家族への影響は大きくなります。
個人再生や任意整理をした場合、特別、家族に迷惑がかかることはありません。特に任意整理については、ほとんど家族に影響をかけることなく、また家族にばれる心配もなく実行することができます。
- 家族が借金の保証人になっているとき
- 借金をしたまま主債務者が死亡をした場合
この2つの場合は、家族に大きな影響が出ます。
保証人とは連帯保証人が一般的であり、連帯保証人は主債務者と同等の返済義務を負います。そして、借金をしたまま死亡しますと、借金も財産としてカウントされて家族に相続され、相続した家族が返済の義務を負います。