債務整理を考えている場合、個人で整理を行うよりも弁護士や司法書士のような専門家へ依頼することをおすすめします。しかし、弁護士や司法書士であったとしても、全員が債務整理を得意としているわけではありません。そのため、弁護士選びというのはとても重要になります。
今回は債務整理の弁護士・司法書士の選び方についてみていきましょう。
目次
専門家選びはとても重要
債務整理を依頼する場合、債務整理に精通した弁護士や司法書士に依頼をするべきです。
餅は餅屋といいますが、一口に弁護士といいましても、現在はかなら細分化されていますので、弁護士の中でも特に債務整理に強い弁護士を探す必要があるわけです。
- 任意整理
- 特定調停
- 民事再生(個人再生)
- 自己破産
この4つの種類があります。
この中で、民事再生(個人再生)と自己破産については、司法書士よりも弁護士に依頼をしてしまった方がいいでしょう。
なぜかといいますと、民事再生(個人再生)と自己破産は地方裁判所にて手続きを行いますので、司法書士は書類作成などのフォローしかすることができないのです。
司法書士を雇っていると民事再生委員への費用などから費用面のメリットはなくなってしまいます。
弁護士や司法書士への費用が支払えない
債務整理を専門とする弁護士事務所や司法書士事務所の場合は、一括請求を求めてくるということはありません。なぜなら、依頼人へ請求しても払えないことが明確だからです。
そのため、分割払いや後払いを認めている弁護士事務所や司法書士事務所が一般的です。また、相談料なども1回は無料としている場所も多くなります。
つまり、現段階で弁護士・司法書士の費用を支払うことができなくても、さほど問題とはなりません。
また、弁護士・司法書士へ依頼をすることで、通常、2、3日以内に「受任通知」というものを各債権者へ送付します。これは、債務整理を始めますので債務者への連絡はまずは弁護士・司法書士を通してからおこなってください、という通知です。
受任通知を受け取った債権者は、貸金業法により債務者に対して取立、催促、督促、差押えの一切をすることができなくなります。銀行の場合、受任通知を受け取ったら口座を凍結してしまいますので、事前に引き下ろしをしておきましょう。
弁護士費用について
弁護士費用については、この記事を参考にしてください。
弁護士の探し方
ここからは、弁護士・司法書士の選び方・探し方について、メリット・デメリットを共に見ていきましょう。どのような方法で弁護士を選ぶのかは個人個人で異なると思いますが、その選び方は果たしてあっているのでしょうか?
自分・知人の知り合い弁護士
自分・知人の知り合いに弁護士がいればその人に依頼をしてしまえば、探す手間が省けていいと考えるわけです。ただ、前述したように弁護士とひと口にいっても得意とする分野が異なってきますので、その人がたとえば刑事事件に強い弁護士だったら、債務整理を依頼しても断られる可能性がありますので事前に調べておきましょう。
自分・知人の知り合い弁護士のメリット
自分・知人の知り合い弁護士のメリットは下記の通りです。
- 弁護士を探す手間が省ける
- 事前に弁護士の人柄がわかる
自分・知人の知り合い弁護士のデメリット
- 債務整理の実績・専門的な知識があるのか未知数
- 債務整理をすることが知人にばれてしまう
- 知人からの紹介の場合、途中で別の弁護士に変更しにくい
役所の市民相談会
役所が無料で借金問題の市民相談会を行っています。
役所が実施していますので安心感があります。ただし、相談の質はそこまで高いわけではありません。相談をすることで、正しい解決方法を聞きたいという場合には不向きかもしれませんが、これは担当する弁護士に大きく影響されるでしょう。
役所の市民相談会のメリット
- 役所が実施しているので安心感がある
- 無料で相談できる場合が多い
- 役所のため相談に行きやすい
役所の市民相談会のデメリット
- 相談可能な日時が限られている
- 相談時間が限定されているケースが多い
- 対応してくれる弁護士が誰なのかわからない
- 相談できる分野が幅広いため、必ずしも弁護士に債務整理の実績があるかわからない
- 相談の質は高くない場合が多い
弁護士会の相談会
地方の弁護士会が相談会を実施しています。弁護士会ごとに費用や相談方法が異なりますので注意が必要です。
弁護士会の相談会のメリット
- 弁護士会が実施しているので安心感がある
弁護士会の相談会のデメリット
- 相談できる日時、相談料が地域によって異なる
- 対応する弁護士が誰になるのかわからない
法テラス
法テラス(日本司支援センター)は、国が設立した法的トラブル解決の総合案内所になります。日本中に法テラスはありますので、近くの法テラスへ行くことで無料相談をすることができます。
法テラスに登録している弁護士ならば、法テラスが実施している弁護士費用の立替制度である、民事法律扶助制度を利用することができます。
さらに、立替制度を利用すると、成功報酬金の免除や着手金の減額など弁護士費用を安くすることも可能です。立て替えた弁護士費用は、債務整理が完了後に毎月5000円ずつ、法テラスへ返済をしていきます。
ただし、立替制度は誰でも利用することができるわけではなく、所得水準の低い方が対象になります。そのため、所得水準が低いと判断されなければ利用することは不可能です。
法テラスのメリット
- くにが実施している安心感がある
- 弁護士費用の立替(立替金制度)を受けられる場合がある
法テラスのデメリット
- 法テラスはあくまで相談窓口であり、相談する弁護士を紹介されるだけ
- 紹介される弁護士が債務整理に強いのかはわからない
自分で探す
自分で1から弁護士を探すという方法もあります。手間はかかりますが、安心できる弁護士を見つけるためには、現実的な方法でしょう。
自分で探すメリット
- 相談したいと思った弁護士を選ぶことができる
- 無料で相談できる法律相談事務所が多い
- WEBサイトを利用すれば、事前に弁護士・法律相談事務所の詳細を調べることが可能
自分で探すデメリット
- 弁護士を探す手間がかかる
弁護士・司法書士選びのポイント・基準
ここからは弁護士や司法書士を探す際のポイント・基準について紹介をしていきます。
このポイント・基準に照らしあわせて、弁護士・司法書士を探していきましょう。
1.実績・専門的な知識を有しているか
弁護士がかかわることができる分野というのは幅広く、弁護士により専門分野が異なります。一人の弁護士がすべての分野の経験をエキスパートと呼ばれるほど積むことは容易なことではありません。
相談をした弁護士が債務整理での実績や専門的な知識がない場合、相談をしても満足いく結果を得ることができない恐れがあります。
債務整理の実績の有無については、弁護士事務所や司法書士事務所の公式ホームページを確認することで簡単に見つけることができます。実績のある、法律相談事務所については、事務所の実績を宣伝材料としていますので、簡単に見つけることができるでしょう。
複数の弁護士事務所のホームページの更新頻度や事務所の実績を見比べてみると、満足いく解決ができる事務所なのか判断が付くと思われます。
2.仕事の姿勢・スピードなどの評判
業務に取り組む姿勢によって、債務整理は解決までにかかる時間が異なってきます。債務整理の中には、過払金返還請求のように時効の可能性があるものや早期に片づけるべき案件が多くなります。また長期間かかった場合、それだけで不安でストレスのたまる日々を長く過ごさなければなりません。
そのため、進捗の報告がまったくない、電話をしても担当の弁護士になかなか繋がらない、折り返しの連絡がないなど連絡に対してルーズな弁護士事務所は避けた方がいいでしょう。
事務所によっては複数の案件を抱え込んでいる可能性があり、対応が遅れるのは仕方ありません。対応の早さを調べるためにはホームページの問い合わせフォームから問い合わせをおこない、土日祝日を除いて3日以内に返信がある事務所であれば特に問題はないでしょう。それ以上かかるのであれば、別の場所へ依頼をする方がいいかもしれません。
3.費用の見積もりを出してもらう
債務整理における弁護士費用は、債務整理が完了してからでないと正確な数字を算出することができません。
相談は無料でも依頼後には弁護士費用が必ず発生します。そのため、案件完了後に想像していたより高額な費用を請求される方も多く存在します。不当な弁護士費用を請求されないためには、弁護士が債務整理案件を受任する際にある程度の弁護士使用を明確化することが必要となります。
4.弁護士・司法書士が多く所属している事務所を選ぶ
弁護士や司法書士が多く所属している事務所を選ぶというのが、債務整理を有利に進めるうえでは重要なポイントになります。なぜなら、実際に債務整理の交渉や裁判など最終段階で行う手続きについては弁護士がおこないますが、書類作成など細かい事務仕事は事務所に所属している事務員が行うのがほとんどだからです。
そのため、弁護士や司法書士が多く所属している事務所であれば、事務所内で手のあいている司法書士や弁護士が字部員に代わり、書類作成などの債務整理における事務作業をおこなってくれます。結果、スムーズに手続きを済ませることができるでしょう。
5.人柄
弁護士といっても人間です。性格などで相性の良し悪しがあります。性格が合わないために、途中で弁護士を解任して別の弁護士に依頼しなおすというケースも考えられます。その場合、解任した弁護士に支払った着手金はかえって来ませんので、それは、金銭的な無駄になります。もちろん、時間的にも無駄となるでしょう。
6.客商売の認識が欠けている弁護士は選ばない
横柄な態度や不誠実な行動をとる弁護士は避けた方が無難でしょう。
依頼者の気持ちを考えずに杓子定規なアドバイスしかできない弁護士というのは、依頼者のために努力をしてくれるか極めて疑問です。
7.事務所が遠すぎないか
任意整理の場合は、事務所へ1回足を運べばいいのですが、自己破産や民事再生(個人再生)の場合は、何度か事務所へ赴かなければならない可能性があります。3回~4回程度が目安になります。任意整理や過払金返還請求の場合はそこまで問題にはなりませんが、自己破産や民事再生(個人再生)を検討している方は、あまりにも遠方の事務所と契約を結んでしまうと、負担が大きくなってしまいます。
8.契約書を作るか
契約書を満足に作らない事務所の場合、債務整理を頼んだとしても、仕事を確実にこなしてくれるかどうかの保証がないといえます。特に料金関係については、口頭で決めて契約書を作成しない場合、後々、揉める原因になります。契約書を作るか作らないかしっかりと確認しましょう。
まとめ
債務整理を依頼する場合、債務整理のエキスパートの弁護士に依頼をすることをおすすめします。弁護士がかかわることのできる分野は幅広く、一人の弁護士がすべての分野で経験を積むことは簡単ではありません。
そのため、弁護士に依頼をする場合、債務整理の実績を持っている弁護士に依頼をするべきであるといえます。
- 自分・知り合いの弁護士に依頼をする
- 役所の市民相談会で依頼をする
- 弁護士会の相談会で依頼をする
- 法テラスを利用する
- 自分でWEBサイトなどを利用して探す
これらの方法があります。
一番、メリットが大きいのは自分でWEBサイトを利用して探すのが現実的です。その他の方法もメリットはありますが、債務整理に強い弁護士とマッチングできるかは運しだいなり、低クオリティーなアドバイスしか受けられないことがあります。
- 実績・専門的な知識を有しているか
- 仕事の姿勢・スピードなどの評判
- 費用の見積もりを出してくれるか
- 弁護士・司法書士が多く所属している事務所か
- 人柄
- 客商売の認識が欠けている弁護士は選ばない
- 事務所が遠すぎないか
- 契約書を作るか
このような基準から一番自分にマッチする弁護士・司法書士を選びましょう。