目次
- 1 過払い金請求は、隠れたデメリットも多く、デメリットを減らすためにも弁護士、司法書士との連携が大切
- 2 12の過払い金請求のデメリット
- 2.1 1.家族バレの危険性がある
- 2.2 2.本人が申し立てる場合、金融業者が対応しない場合がある
- 2.3 3.完済していない債務に対し過払い金請求を行い、債務が残った場合、事実上のブラックリスト扱いとなる
- 2.4 4.ショッピング部分のリボ払いは過払い金の対象外
- 2.5 5.弁護士、司法書士に依頼する場合、費用がかかり、費用と過払い金の見込める額を考慮しないと、返ってくる過払い金より弁護士、司法書士費用が高くつく場合もある
- 2.6 6.過払い金請求は、非弁提携の組織ではなく、弁護士、司法書士事務所に直接依頼する必要がある
- 2.7 7.手続きが煩雑で、時間がかかる
- 2.8 8.話し合いが成立しないと、訴訟に移行するケースがある
- 2.9 9.時効期間があり、時効期間を過ぎると請求できなくなる
- 2.10 10.過払い金請求を行った業者とは今後取引できなくなる可能性が極めて高い
- 2.11 11.クレジットカードのキャッシング枠の過払い金請求を行う場合、そのクレジットカードで公共料金などの引き落としがあれば、必ず引き落とし先を変更しておく必要がある
- 2.12 12.他に借金があるのに、過払い金がある債務だけを整理する、過払い金返還請求のつまみぐいは原則できない
- 3 債務整理は、債務全体で考えるべきものであり、過払い金請求ありきで考えるものではない。また、債務を全て完済していれば、遠慮なく過払い金請求をすぐ行おう。
過払い金請求は、隠れたデメリットも多く、デメリットを減らすためにも弁護士、司法書士との連携が大切
過払い金請求は一見メリットが多いように見えますが、注意すべき12個のデメリットも存在します。
過払い金請求は、一見自分でもできそうです。
実際は、金融業者が対応してくれにくい場合があるなど、個人での過払い金請求は、必ずしもスムースに行かないケースがあります。
しかし、債務整理の中でも特に過払い金請求に強い弁護士、司法書士に任せておけば円滑に行く場合も多いです。ぜひ下記の「12個の過払い金請求のデメリット」を踏まえ、過払い金請求に加え、債務整理全般に強い弁護士、司法書士と連携し、スムースな過払い金請求を実現できるよう留意してください。
12の過払い金請求のデメリット
- 家族バレの危険性がある
- 本人が申し立てる場合、金融業者が対応しない場合がある
- 完済していない債務に対し過払い金請求を行い、債務が残った場合、事実上のブラックリスト扱いとなる
- ショッピング部分のリボ払いは過払い金の対象外
- 弁護士、司法書士に依頼する場合、費用がかかり、費用と過払い金の見込める額を考慮しないと、返ってくる過払い金より弁護士、司法書士費用が高くつく場合もある
- 過払い金請求は、非弁提携の組織ではなく、弁護士、司法書士事務所に直接依頼する必要がある
- 手続きが煩雑で、時間がかかる
- 話し合いが成立しないと、訴訟に移行するケースがある
- 時効期間があり、時効期間を過ぎると請求できなくなる
- 過払い金請求を行った業者とは今後取引できなくなる可能性が極めて高い
- クレジットカードのキャッシング枠の過払い金請求を行う場合、そのクレジットカードで公共料金などの引き落としがあれば、必ず引き落とし先を変更しておく必要がある
- 他に借金があるのに、過払い金がある債務だけを整理する、過払い金返還請求のつまみぐいは原則できない
1.家族バレの危険性がある
過払い金請求の手続きをする上で、家族バレせずに処理を行いたい方は気を付けないといけません。
特に、個人で過払い金請求をしようとする場合、金融業者の名前の入った封筒などで郵便物、時に書留が届くわけですから、家族に不審に思われる場合も多いでしょう。
また、携帯などに電話がかかってくる可能性もあり、その場合も不審に思われるおそれがあります。
もし家族バレすることなく、過払い金請求を行いたい場合は、債務整理に強い弁護士、司法書士に相談、委任し、「家族に知られることのないよう処理したい」と伝えることが大切です。
そうすると、金融業者の書類送付先は弁護士、司法書士事務所になりますし、弁護士、司法書士事務所の側でも、事務所名の入っていない封筒を使うなど、できるかぎりプライバシーに配慮した連絡方法、処理を行ってくれます。
2.本人が申し立てる場合、金融業者が対応しない場合がある
これもありがちなことではありますが、本人が過払い金請求を行う場合、金融業者がきちんと対応しないケースもあります。
過払い金の存在を計算するためには、取引開始当初から現在までの取引履歴を全て集めて、それを現在の利息制限法に引き直す計算を行わなければなりませんが、個人請求の場合、金融業者が取引履歴の提出を出し渋る場合があります。
しかし、弁護士、司法書士が請求すると、スムースに取引履歴を提出してくれます。
取引履歴の開示や、利息制限法への引き直し計算、その後の処理を含めても、弁護士、司法書士に依頼する方が確実です。
3.完済していない債務に対し過払い金請求を行い、債務が残った場合、事実上のブラックリスト扱いとなる
過払い金請求を行う場合、過払い金の存在しない債務は無視して、過払い金のある債務だけ過払い金返還請求を行うことは、原則できません。(詳しくは、「12.他に借金があるのに、過払い金がある債務だけを整理する、過払い金返還請求のつまみぐいはできない」で説明)
そのため、全て債務を完済していれば問題ないですが、過払い金の存在する債務と、過払い金の存在しない債務が混じっている状態だと、慎重に対応しないといけません。
場合によっては、過払い金の存在する債務で過払い金を請求して、ある程度債務を圧縮できたが、債務そのものは残っていた・・・という場合に、信用情報には「債務整理」という記録がされ、実質5年~10年間、お金の借り入れができなくなる可能性があるからです。
このように、信用情報が毀損されることを防ぎたい場合は、余裕がある場合は借金を完済しておくこと、それが難しい場合は債務整理に強い弁護士、司法書士と相談し、リスクとリターンをしっかりと把握した上で、過払い金請求を弁護士、司法書士を通して行うことをおすすめします。
4.ショッピング部分のリボ払いは過払い金の対象外
意外と誤解されがちですが、クレジットカードにおけるショッピングのリボルビング払いの部分は、過払い金の対象外です。
リボルビング払いとは、毎月5,000円なり10,000円なりの一定額を支払うことで、残りの債務の支払いを後に延ばせる制度です。会社によっては、あとリボ、フレックスペイメントなど名称が異なる場合があります。
カードによっては、初期設定がリボルビング払いとなっている場合もあり、利用者がきちんと確認しないと、いつのまにかリボルビング払いの債務がたまり、利息だけを支払い続けることになるというケースも散見されます。
そして、金利は概ね2018年現在15%を設定している会社が多く、銀行やクレジットカードのキャッシングの金利とあまり変わりありません。
ですが、ショッピングリボはあくまで物品購入であり、借り入れではないと扱われるため、過払い金請求の対象外となります。
これも、ショッピングリボの残債がある場合は、弁護士、司法書士事務所と相談し、過払い金請求だけでなく債務整理も視野に入れ、幅広く考えておく必要があります。
5.弁護士、司法書士に依頼する場合、費用がかかり、費用と過払い金の見込める額を考慮しないと、返ってくる過払い金より弁護士、司法書士費用が高くつく場合もある
他の債務整理手続きでも同様ですが、弁護士、司法書士に依頼する場合、費用がかかります。
下記サイトによると、過払金報酬の上限としては、下記のように定めています。
- 訴訟によらない場合→回収額の20%以下
- 訴訟による場合→回収額の25%以下
日本弁護士連合会 債務整理の弁護士報酬に新たなルールを作りました
弁護士、司法書士費用に関しては、着手金、成功報酬など少し複雑な部分もありますので、事前に弁護士、司法書士に相談し、高すぎないか、一方で安すぎないか(安さを過度に売りにして、事務員がほとんど対応する体制になってしまっていないか)、そして「事務員ではなくきちんと弁護士・司法書士が対応してくれるか」に留意しながら、適正、納得できる料金であるかをきちんと確認してください。
6.過払い金請求は、非弁提携の組織ではなく、弁護士、司法書士事務所に直接依頼する必要がある
非弁という言葉を解説すると、弁護士でないのに、弁護士しかできない業務を行う行為です。
以前より、弁護士でないのに債務整理を手がけたり、NPOを隠れ蓑にし、弁護士と提携して不当な報酬を得る組織が問題となっています。
特に、NPOは以前は非営利団体というクリーンなイメージがありました。
しかし現在は、NPOという組織自体が悪用されているケースもあります。
一部ではありますが債務者救済を掲げつつ、実態は非弁行為や、食い詰めた弁護士を看板にし、実態は資格を持たないスタッフが処理を行い、きちんとした弁護士、司法書士に頼むより高い報酬を得ている団体も存在していましたし、現在でもそのような団体が存在する可能性はあります。
また、電話での勧誘も注意が必要です。
特に、電話だと言った言わないの話になり、聞いていた話と違うということも起こりえます。
国民生活センター 債務整理をするとうたった電話勧誘に注意!
これは、かなり前の記事ではありますが、弁護士やボランティア団体等を名乗り、電話勧誘を行う不正な団体が存在するという記事です。
過払い金請求を依頼する場合は、必ず弁護士、司法書士事務所に直接連絡することや、
日本弁護士連合会
日本司法書士連合会
できちんと検索できる弁護士、弁護士法人や司法書士、司法書士法人であるかを確認するようにしてください。
7.手続きが煩雑で、時間がかかる
過払い金請求の手続きについて、弁護士、司法書士に依頼した場合と、自分で行った場合を比較してみましょう。
弁護士・司法書士に依頼 | 自分で行う |
弁護士・司法書士に相談、依頼 | 過払いが存在すると思われる貸金業者に過払い請求を行う |
弁護士・司法書士で全ての債務をリストアップし、過払い金が存在する可能性がある案件をさがしてくれる | これまで取引のあった貸金業者に取引履歴の開示を請求する(対応されない場合もある) |
弁護士・司法書士事務所から、これまで取引のあった全ての業者に通知を送り、取引履歴を請求する | 取引履歴が帰ってきた場合、自分で利息制限法に引き直し計算をする |
弁護士・司法書士事務所で、利息制限法に引き直し計算をし、過払いが存在する場合は過払い分の請求を行う | 各貸金業者と自分で交渉する |
過払い分の返還請求について、貸金業者と弁護士・司法書士事務所が交渉する | 過払いが存在し、業者が応じた場合は返金手続きをしてくれる場合もあるが、応じない場合や訴訟に発展する場合もある |
訴訟になった場合も、弁護士・司法書士事務所が対応してくれる | 訴訟になった場合は、自分で裁判所に行くか、弁護士・司法書士事務所に依頼する必要がある |
一連の手続き終了後、弁護士・司法書士報酬を支払うが、過払い金が多い場合は、過払い金で弁護士・司法書士報酬をまかなえるケースもある | 以上のように、弁護士、司法書士費用こそ発生しないものの、全ての手続きを自分で行う必要がある |
以上のように、弁護士、司法書士事務所に依頼することで、自分自身の事務負担を減らすことができるだけではなく、貸金業者に対してより踏み込んだ対応をしてくれるため、結果として過払い金をより確実に回収できる見込みが高くなります。
8.話し合いが成立しないと、訴訟に移行するケースがある
前項でも触れましたが、過払い金請求に関して話し合いがまとまらないと、訴訟に発展するケースもあります。
そうなると、弁護士、司法書士事務所に依頼している場合は問題ありませんが、自分で過払い金請求の手続きをしている場合だと、自分で裁判所に行くなり、弁護士、司法書士に結局依頼することになったりと、大きな負担がかかります。
このような、訴訟に発展するケースも見越して、最初から弁護士、司法書士事務所に依頼しておくことをおすすめします。
9.時効期間があり、時効期間を過ぎると請求できなくなる
過払い金請求には、10年という時効が存在します。
最後の取引から10年を経過してしまうと、いくら過払い金があっても請求できなくなってしまいます。
特に、既に完済した債務の場合は時効期間に注意する必要があります。
あわせて、借りては返して・・・を繰り返していたり、いったん完済したが、数年後また取引を開始したなど、イレギュラーなケースの場合は、ぜひ債務整理に強い弁護士、司法書士事務所に相談し、時効が中断されるケースかどうかを確認する必要があります。
自分だけの考えで、「これはもう時効だろう・・・」と決めつけず、専門家に相談し、取引履歴を精査してもらうことで、実は時効ではなかったということがわかるケースもあり得るのです。
いずれにせよ、過払い金請求の時効は10年であり、もし過払い金に心当たりがあれば、いち早く行動することで、払いすぎた利息を取り戻すことができますので、弁護士・司法書士への相談や請求手続きを急いでください。
10.過払い金請求を行った業者とは今後取引できなくなる可能性が極めて高い
これはうすうすわかるかと思います。
過払い金請求を行うということは、権利の行使とはいえ、貸金業者に対して、「もう御社から借りることはありません」と暗にメッセージを送っているようなものです。
また、過払い金請求を行われた会社側も請求した人に対し、今後の新規取引、追加貸し出しは行いません。
11.クレジットカードのキャッシング枠の過払い金請求を行う場合、そのクレジットカードで公共料金などの引き落としがあれば、必ず引き落とし先を変更しておく必要がある
これも案外忘れがちな手続きですが、特に最近の公共料金などの引き落としや月額契約を、クレジットカードで行っておられる方も多いです。
そのままにしておくと、過払い請求などの際、中途半端なタイミングで引き落としがかかってしまうことや、引き落とし先の変更には半月~1ヶ月以上かかることも多いので、過払い金請求を行うことを決めたら、まずクレジットカードでの各種料金の引き落としがないかを確認してください。
また、賃貸住宅の貸し手側から、賃貸料金引き落としのためにクレジットカードを作らされる場合や、スポーツクラブなどでクレジットカードを作らされる場合もあります。
過払い金請求を行う場合、債務が残っているカードについてはあわせて債務整理の対象とするというのが日本弁護士連合会などの方針ですので、可能であればショッピングリボ、キャッシングをゼロにし、あとリボ(自動的に全てリボルビングになる制度。名称は会社によって異なる)を解除してください。
また、債務の口座引き落としや保証会社の利用など、他の方法に変更できないか事前に調べること、また、ぜひ弁護士、司法書士に相談の上、どのように対処するのがベストであるかをしっかりと協議するようにしてください。
12.他に借金があるのに、過払い金がある債務だけを整理する、過払い金返還請求のつまみぐいは原則できない
他の項目でも触れましたが、日本弁護士連合会の場合、過払い金がある借り入れだけを整理して、他の債務を残すという、いわゆる「つまみ食い」には、原則として応じてはならないとしています。
住宅ローンなど、特殊かつ大きな債権がある場合は、弁護士、司法書士に相談し、判断を仰いでください。
結局、他にもカードローン、キャッシングなどの債務がある場合は、まとめて整理しないとまた借り入れなどをしてしまい、根本的な問題が解決しないという理由があるためです。
また、以前は一部の事務所が、過払い金のある案件だけを処理し、あとは他の事務所に回すなど、利益が得やすい部分だけに取り組み、それ以外の部分は放置したり他の事務所に丸投げするなど、弁護士、司法書士側にも問題がある事例がありました。
加えて、過払い金の債務だけを請求し、その後でやはり苦しいので個人再生や自己破産をしますとなっても、個人再生や自己破産の段階で、特定の業者からだけ過払い金金返還を受けていた事実が大きく問題視され、場合によっては個人再生、自己破産が認められなくなるおそれもあります。
それゆえに、弁護士、司法書士に対し、過払い金のある借金だけ整理してくださいということはできないと考えておいてください。
債務整理は、債務全体で考えるべきものであり、過払い金請求ありきで考えるものではない。また、債務を全て完済していれば、遠慮なく過払い金請求をすぐ行おう。
以上、12の過払い金請求のデメリットについてふれてきました。
これまでも述べたとおり、債務が残っている場合の過払い金請求は、債務整理に強い弁護士、司法書士としっかり相談し、不利益のないよう取りかかる必要があります。
一方、債務を完済しており、もう借りる必要がないという場合は、過払い金請求をぜひ積極的に考えてください。以前の金利は29%を超える借り入れ、キャッシングもあるなど、明らかに極めて高い利息でした。払いすぎた利息ですので、遠慮する必要はありません。
ぜひ、過払い金請求に強い弁護士、司法書士に相談し、返金を勝ち取ってください。
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