目次
債務整理でクレジットカードを残すことができるのか?
- 任意整理
- 民事再生(個人再生)
- 自己破産
これに、特定調停をくわえた4つの種類があります。
任意整理、民事再生、自己破産の3つのパターンを利用した後にクレジットカードを残せるのかを見ていきましょう。
任意整理の場合
任意整理の魅力というのは、特定の債権者との交渉が可能である点です。
クレジットカード会社のA社、B社、C社のクレジットカードを利用していて、その中でA社とのみ交渉をして、利息の見直し、利息カット、返済期間のリスケジュールが可能です。
つまり、一枚だけ任意整理をすることなくクレジットカードの任意整理をすることが可能です。
しかしながら、任意整理をするためには弁護士へ依頼しなければならないのですが、すべての弁護士は、特定のクレジットカードのみの債務整理というのはおすすめしていません。
弁護士に借金をすべて申告してくださいと言われているにも関わらず隠した場合は、弁護士との関係が良くない状態になると考えられます。
任意整理をする際に、クレジットカードははさみで切断、もしくは物理的に使用できなくした上で、クレジットカード会社に返還をするように指示をする法律相談事務所というのが多いようです。
未使用のクレジットカードの場合
まったく使用していないクレジットカードを持っている場合、口頭で使用しないように注意されることもあります。
また、未使用でなくても数万円(2~3万円)程しか使用していないのであれば、これも任意整理の対象にはなりません。あくまで任意整理の話であり、民事再生(個人再生)や自己破産の場合は、話が異なります。
民事再生(個人再生)や自己破産というのは、法律上、特定の債務を申告しないということはできません。
これらのことから、任意整理をしたとしても、特定のクレジットカードがその後も使用できるというケースは珍しくないのです。
この使用できるカードも場合によっては使えなくなる可能性があります。たとえば、クレジットカードの更新時期に審査で落ちるなどです。
民事再生(個人再生)
民事再生(個人再生)は、裁判所へ申立てることによりおこなうことのできる債務整理の1つの方法です。
任意整理よりも強制力があり、自己破産のように財産の処分を必要としないので、持ち家のような住宅を残したい場合は民事再生(個人再生)の住宅ローン特別条項というものを利用することで、住宅ローンを守ったまま、他の借金の減額をすることができる方法です。
そのため、民事再生(個人再生)の場合、住宅ローンがあるけれど住宅ローンの支払いが困難であるという人がおこなう債務整理です。
債務整理をする過程で任意整理と同様に、クレジットカードの利用が5年間は不可能になります。
自己破産
自己破産は裁判所に、借金の返済能力が無いと認められ、破産法により借金の免責が認められるのが自己破産です。
一定以上の財産を持っている場合、その財産を処分しなければなりません。
債務整理の最終手段といえます。
しかし、その分、貸金業者としては要注意人物に指定され、当然ですが、クレジットカードを手元に残すことはできず、強制的に解約です。
債務整理をしたことが各クレジットカード会社にばれる理由
A社で債務整理をしても、黙っていれば、B社で新しくクレジットカードを作れるのではないかと考える方もいますが、それは不可能です。
なぜ、債務整理をしたことを黙っていてもばれてしまうのかといいますと、「信用情報機関」と呼ばれる存在のせいです。
- CIC
- JICC(日本信用情報機構)
- KSC(日本銀行信用情報センター)
という3社が日本には存在します。
クレジットカードを作る際には、必ず個人情報を上記の3社のどれかに問い合わせをして貸し倒れや過去に債務整理などの金融事故を起こしていないのかをチェックするのです。
そして、信用情報機関の3社はCRINという相互ネットワークで結ばれていますので、債務整理をしたことを黙っていても必ずばれてしまいます。
CIC
株式会社CICは、還付販売・消費ローンン度のクレジット事業を営む企業を会員とする信用情報機関であり、割賦販売法および貸金業法にもとづく指定信用情報機関として指定を受けた信用情報機関です。
- JCB
- DC
- UC
- アメックス
- セゾン
- オリコ
この他に、ソフトバンクやドコモ、KDDIなどの携帯電話会社も加入しています。
CICの特徴として、官報情報の収集・保有を平成21年4月1日より中止しています。
そして、CICのサイトには、
当社で保有するクレジット情報の保有期間は、契約中および契約終了から5年間です。したがいまして、破産の場合は免責許可決定が確認できた会員会社によるコメントが登録された報告日が起算点ということになります。
と明記されています。
JICC
- 消費者金融会社
- クレジットカード会社
- 金融機関
これらが会員になっている信用情報機関です。
特に、クレジットカード会社や消費金融業者が加入しています。
KSC
一般社団法人全国銀行協会は、
- マイカーローン
- 住宅ローン
- 銀行系クレジットカード
- 銀行
- 信用金庫
- 農協
- 労働金庫
などがあります。
CRIN
CIC、JICC、KSCの3社は『CRIN(Credit Information Network)』という相互情報ネットワークを構築しています。
それぞれの信用情報機構の保有する信用情報や返済の遅延情報を共有しています。これにより、総量規制で定められている年収の3分の1を超える借入を防ぎ、多重債務に陥る危険性を下げるのに効果を発揮しているのです。
信用情報機関に登録されている情報
信用情報機関には下記の情報が登録されています。
- 氏名
- 性別
- 生年月日
- 住所
- 電話番号
- 勤務先
- 勤務先の電話番号
- 運転免許証等の本人確認書類の記号・番号
- 契約日
- 契約の種類
- 利用可能枠
- 支払回数
- 利用残高
- 月々の請求額
- 支払額
- 支払及び取引事実に関する情報
- その他、各加盟信用情報機関が定める情報
このようなものが登録されています。
- 債権回収
- 債務整理
- 保証履行
- 強制解約
- 破産申立
- 債権譲渡
などがあります。
カード会社内データベース
- エポスカード
- オリコ
- セゾン
- JCB
- セディナ
- 三井住友
- 東京三菱UFJ
- ライフカード
これらの会社は、官報の情報を独自に収集しており、自社でデータベース化して審査の際に活用しています。
このデータベースにて過去に債務整理のような金融事故を起こした人物であると判断された場合、クレジットカードが発行されることはありません。
ちなみに、官報については公(おおやけ)の情報ですから、プライバシー保護の観点から見ても収集して問題はないとされています。
債務整理後にクレジットカードを発行する期間と方法
債務整理後にクレジットカードを発行する期間
債務整理後にクレジットカードを発行するまでの期間は、債務整理の方法と信用情報機関により異なります。
たとえば、自己破産をした場合は、KSCなら10年間は金融事故を起こしたブラック状態として、クレジットカードを作ることができません。
CIC | JICC | KSC | |
61日以上滞納 | 5年 | 1年 | 5年 |
3ヵ月以上連続滞納 | 5年 | 5年 | 5年 |
任意整理 | 記載なし | 5年 | 記載なし |
個人再生 | 5年 | 5年 | 5年 |
自己破産 | 5年 | 5年 | 10年 |
代位弁済 | 記載なし | 5年 | 5年 |
CICについては、官報の情報収集を止めていますので、仮に自己破産をしたとしても3ヶ月間以上滞納した金融事故として扱われます。つまり、自己破産の手続きが完了してから5年後には新しくクレジットカードを作ることができる可能性が高くなります。
ブラックリスト
ちなみに、債務整理をすると金融事故としてブラックリストにのると表現されますが、債務者の名簿が書かれた「ブラックリスト」なるリストは存在しません。
あくまでも表現の1つであると考えてください。
ただ、CICの場合では返済状況に「異動」と書かれているとブラック状態となります。
JICCも任意整理をすれば異動参考情報の欄に「任意整理」と明記されます。
絶対に発行できないクレジットカード
ブラック状態を脱した後にも絶対に発行することができないクレジットカードがあります。
それが、債務整理時に債務整理をしたクレジットカード会社のカードです。
債務整理後にクレジットカードを発行する方法
債務整理後最短で5年間はクレジットカードを作ることができません。その間、クレジットヒストリー(クレヒス)というクレジットカードの使用履歴が空白状態になります。
- 以前に金融事故を起こしたことがある人物
- 一度もクレジットカードを持ったことのない人物
このどちらかしかいません。
まだ、年齢が若いのであれば「一度もクレジットカードを作ったことがないのかな」と思われますが、ある程度、年齢を重ねている人の場合、もしかしたら金融事故を起こしたかもしれないという風に考えられてしまいます。
信用情報機関には、住宅ローンの記録なども残りますので、ある程度年齢が高いのに、それらの情報が一切ないとなると、債務整理などを起こしたことがある可能性が高いと判断されて、クレジットカードの審査に落ちてしまいます。
審査に落ちたという記録は半年間残りますので、半年間は申込みブラックとして、一切審査に通らなくなってしまいます。
クレジットカードの代わりにデビットカードを利用する
債務整理をしてすぐに利用できるのが、デビットカードです。
VISAデビットなどがありますが、VISA加盟店ならばクレジットカードのようにして利用することができます。利用した分はすぐに口座から引落されますので、現金感覚で使用できるメリットがあります。
この現金感覚というのが肝心であり、デビットカードはカード会社が貸し倒れをすることがありません。口座から直接引き落とされるので、クレジットカードのようにして利用をしても、口座の残高が0円ならば利用ができないのです。
クレジットカードは1枚目が何よりも重要
クレジットカードは、1枚作ってしまえば、後は信用情報をしっかりと築いていけばいいので、債務整理後に作るクレジットカードは1枚目が重要になります。
ネットでは、アコムマスターカードが審査に通りやすいと有名です。
携帯電話の支払いで取引履歴を作る
また、携帯電話を新規で購入する際に、機種の代金を分割払いにして取引履歴を作るという方法もあります。携帯電話の契約であれば審査も緩く、現在はインフラの1つとなっている携帯電話です。
自分の信用情報を確認する方法
自分の信用情報を確認する方法を紹介します。自分の信用情報を開示することは可能なので、自分がブラック状態なのかを確認するためには非常に有効な手段です。
特に、任意整理や民事再生(個人再生)は、借金を完済してから5年間、つまり、計8年間がブラック状態になります。
- 窓口開示:500円(税込)
- インターネット開示:1,000円(税込)
- 郵送開示:1,000円(税込)
という3つの種類があります。
- CIC
- JICC
この2社で十分です。
前述のようにJICCは「異動参考情報の欄に『任意整理』」と明記されます。
CICは「返済状況に『異動』」という文字が書かれています。
これらの文字がなくなったらクレジットカード発行のために行動を開始していいでしょう。
まとめ
債務整理をすると5年~10年間はクレジットカードを作ることができなくなります。
一生作れないというわけではないので、5年~10年間はクレジットカードでの買い物を我慢して、デビットカードなどを利用するようにしましょう。
ブラック状態から脱した後で最も大切になるのは1枚目のカードです。たくさん申込めば1枚くらい作れるだろうと考えて申込んでしまいますと、逆効果です。半年間は申込みブラックとなってしまいます。
そのため、審査に通りやすいクレジットカードであるアコムマスターカードの申込みをしてみるか、携帯電話の機種変更をして分割払いしてクレジットヒストリーを作ることがいいでしょう。
また、自分の信用情報を取り寄せて、現在、ブラック状態なのかそれとも違うのかを確認するのも有効です。