返済できない借金の問題でお悩みではありませんか? 借金問題でお悩みの方におすすめの制度が債務整理です。
今回は債務整理の中の任意整理を中心にデメリットを紹介していきます。借金問題で悩んでいる方は必見です。
任意整理について
任意整理とは?
債務整理の方法の1つに任意整理があります。
任意整理は、裁判所を利用することなく貸金業者(債権者)と借金の返済ができない人(債務者)が話し合いをします。もちろん、任意整理を得意とする司法書士や弁護士が代理人を務め、代わりに話し合いをしてくれます。
話し合いにより、借金を減額もしくは将来的に発生する利息をカットしてもらう約束を結び和解します。和解とは、借金問題で争っていた貸金業者と仲直りをする約束をすることです。
任意整理に成功した場合
任意整理はあくまで貸金業者との交渉ですから、必ずしも期待通りの返済条件になるとは限りませんから注意をしてください。
- 借金を36回の分割払いにしてもらえる
- 経過利息と将来利息のカット
- 過払い金の利用した借金の減額
36回の分割払い
任意整理に和解をすると、借金を36回の分割払いにしてもらえるケースが一般的です。
つまり、3年間の返済期間を認めてくれるわけです。
経過利息と将来利息のカット
利息のカットは、任意整理ではよく行なわれます。
そして、将来利息は、和解成立後から支払い済までの利息のことです。
経過利息と将来利息をカットしてもらうことで、元本のみを分割返済をすればいいよ、となります。
過払い金の利用した借金の減額
利息制限法の上限金利を超える金利を支払い続けていた場合、任意整理をすることで利息制限法による引き直し計算をします。
その後、余計に支払っていた利息金額分だけ、現在の借金を減らすことができます。
任意整理と債務整理
任意整理については、前述しました。
- 民事再生(個人再生)
- 自己破産
特定調停という債務整理もありますが、現在はあまり利用されていません。
簡易裁判所へ申立てをおこない、調停委員が間に入り債権者と債務者が、今後の返済計画を話し合います。
和解が成立すると「調停調書」を作成します。
特定調停は手続きが煩雑であり、和解成立までに時間がかかるため、債権者と債務者双方にあまりメリットの無い手法です。そのため、年々利用者は少なくなっています。
任意整理のデメリット
任意整理のデメリットを紹介していきます。
- ブラックリストに名前が載る
- 借金の免除はされない
- 任意整理に応じてくれないケースもある
- 保証人に影響がある
- 収入がなければ利用することはできない
- 和解成立後、もう一度任意整理をすることは難しい
- 140万円以上の借金があると司法書士を利用できない
ブラックリストに名前が載ることがある
任意整理、債務整理をすると金融事故を起こしたとして、信用情報機関のブラックリストに名前が載ることがあります。
- CIC
- 日本信用情報機構(JICC)
- 全国銀行個人信用情報センター
信用情報機関の3社は、たとえば、ローンの審査に受かった、もしくは落ちたという情報から、クレジットカードの利用履歴、滞納履歴などを登録している銀行、クレジットカード会社、消費者金融業者などへ提供しています。
そのため、ブラックリストに名前が載っていれば、ローン審査に通りません。返済することができない可能性がある以上、金融機関はお金を貸すことができないのです。
意外なところでは新品の携帯電話の購入が難しくなります。新品の携帯電話の購入代金は、毎月の支払料金の中に加算されるのが一般的です。そのため、高額な新品の携帯電話などの購入ができません。
期間限定でローンやキャッシングができなくなるだけであり、そこまでのデメリットにはなりません。
借金の免除はされない
任意整理をしたとしても借金の全額が帳消しになるということはありません。
任意整理は、自己破産のように借金を全額帳消しにすることはできません。また、借入期間、借入金額、借入時の利率によっては借金の減額を期待することはできません。
任意整理に応じてくれないケースもある
特に中小の消費者金融業者などが多いのですが、任意整理に非協力的な業者があるのも事実です。
債務者への嫌がらせではなく、近年の不況が原因で倒産する貸金業者が相次いでいます。貸金業者に以前のような資金力がなく、任意整理に応じることが金銭的に不可能という背景が原因です。
債権者が任意整理に応じてくれないのであれば、任意整理をする条件が整っていたとしても任意整理はできません。
そのため、任意整理が事前に可能な債権者なのかを調べたうえで任意整理をするようにしましょう。不可能ならば別の債務整理を利用しましょう。
闇金の場合はお金を貸すこと自体が違法です。闇金から借りた場合は任意整理をする必要がありません。その上、今まで支払った分を返してもらう手段に出るのが通常です。
保証人へ影響がある
任意整理の場合は、保証人へ借金の請求が行きます。
- 保証人
- 連帯保証人
この2種類があります。
- 催告の抗弁
- 検索の抗弁
- 借金の全額返済の義務
この3点ほど、異なる点があります。
催告の抗弁
債権者(貸金業者)が保証人に借金の返済を求めたとしても、「まずは主債務者に返済をしてくれ」と主張することができます。これを催告の抗弁といいます。
一方、連帯保証人は主債務者と同等の返済義務を負ってしまうので、催告の抗弁を行うことができません。返済請求をされたら、主債務者の代わりに返済をしなければならないのです。
検索の抗弁
主債務者が借金の返済をする資力があるにもかかわらず、返済を拒否する場合があります。
保証人は、債権者から借金の返済請求をされた場合、債権者へ主債務者の財産を強制執行により、差し押さえるなどの提案をすることができます。これが検索の抗弁です。
一方で、連帯保証人は検索の抗弁をすることができません。たとえ、主債務者に返済能力があったとしても、債権者から借金の返済請求をされたら、連帯保証人は返済をする必要があります。
借金の全額返済
最後に、保証人が複数いる場合、保証人は頭数で割った金額を債権者に返済をすればいいのです。
一方で、借金の額を超えて返済をする必要はないものの、連帯保証人が複数いても、すべての人が借金を全額返済する義務を負います。
任意整理と保証人
前述のように、主債務者が借金の返済が難しくなり、任意整理をする場合、保証人へ借金の返済請求が行くことがあります。
そのため、任意整理の手続きを保証人も共におこなうことで、主債務者が和解にもとづいて完済をすれば、保証人は支払の義務を負うことはありません。
収入がなければ利用することはできない
任意整理をすることで、任意整理以前の返済条件よりも楽にはなりますが、必ず返済をしなければなりません。
任意整理は完済することを前提として、債権者と結ぶ契約です。そのため、収入が一切ない無職では任意整理を利用することができません。
和解成立後、もう一度任意整理をすることは難しい
条件を付けて、任意整理を債権者と和解をしたが、和解条件での返済が難しくなる場合も考えられます。
そのような場合、もう一度任意整理をすることは可能です。任意整理には回数制限というものがありません。
もう一度任意整理をすることは不可能ではありませんが、債権者が納得しなければ和解は成立しません。
任意整理に回数制限はないものの、和解成立後に再び任意整理を持ちかけると、和解の成立は難しいのです。
結果として、2回目の任意整理の和解を引き出すのは非常に難しくなります。
再度、任意整理をお願いしなければならない状態になったら、民事再生(個人再生)や自己破産の選択をする方がいいでしょう。
140万円以上の借金があると司法書士を利用できない
任意整理は、弁護士もしくは司法書士へ代理人になってもらい進めます。債務者1人で進めるのは非常に困難だからです。
司法書士は法律により1社当たりの過払い金が140万円以上ある場合、司法書士は債務者の代理人として交渉をする権利(代理権)を行使できなくなります。そのため、任意整理の問題がこじれてしまい、裁判に発展した場合、債務者は新しく弁護士を探さなければなりません。
また、司法書士は弁護士と同様に依頼を受けた時点で「受任通知」を債権者へ送ります。受任通知を受け取った債権者は、その時点で借金の取立てを止めなければなりません。
相談は無料としている司法書士と弁護士は多いので、まずは相談をしてみて条件に合う方を選ぶといいでしょう。
債務整理(民事再生・自己破産)の3つのデメリット
民事再生(個人再生)
民事再生(個人再生)は、下記のような方が利用します。
- 任意整理では借金の整理が難しい
- 自己破産を避けたい
- 住宅ローンがあるものの、住宅を売却したくない
民事再生(個人再生)には、住宅ローン特別条項というものがあり、住宅ローン以外の借金を圧縮し減額して、3年間で返済をするというものです。
- ~100万円未満の借入:減額不可
- 100万円~500万円未満の借入:100万円
- 500万円~1500万円未満の借入:債務額の5分の1
- 1500万円~3000万円未満の借入:300万円
- 3000万円~5000万円未満の借入:債務額の10分の1
自己破産
自己破産を裁判所へ申立てると、高額な財産を処分する代わりに、税金など以外の借金は全額帳消しになります。つまり、支払う必要がなくなります。
任意整理と他の債務整理が異なる点
任意整理と他の債務整理が異なる点があります。
民事再生(個人再生)や自己破産は、すべての債権者を相手にローンの減額、もしくは帳消しをおこないます。特定の債権者の借金のみを減額することはできません。
また、債権者の同意を必要とせず、裁判所が認めたら強制的に借金の減額・帳消しが可能になります。
民事再生(個人再生)は、住宅ローン特別条項を利用することで、住宅ローン以外の借金の減額が可能です。
任意整理以外の債務整理である、民事再生(個人再生)や自己破産特有のデメリットは下記の3つです。
- 官報に名前が載る
- 一部の職業の制限を受ける
- 保証人へ大きな影響がある
民事再生(個人再生)と自己破産も金融事故になりますので、ブラックリストに名前が載ります。
官報に名前が載る
民事再生(個人再生)や自己破産は裁判所へ申立てをおこない、実行される債務整理です。
任意整理のように債権者と話し合いをして、債権者の同意を得る必要はありません。債務者が裁判所へ申立てをおこない、認められれば債権者の同意を必要とせずに借金の減額・帳消しが認められます。
ただ、裁判所を利用しますので「官報」という国の広報誌に名前が載ります。ネット上にも「インターネット版「官報」」があります。
官報公告されるのは下記の内容です。
- 名前
- 住所
- 決定年月日時
- 主文(自己破産や民事再生(個人再生)などの情報)
- 届出期間
一般人は官報をどこで見ることができるのか、何が書いてあるのか興味がないので、ほとんど見ません。
また、民事再生(個人再生)や自己破産の公告以外にも、さまざまな公告(相続、公示催告、失踪、除権決定、破産、免責、特別清算、再生関係)が書かれています。その上、文字ばかりなので好んで見る方はいないでしょう。
- 民事再生(個人再生):開始決定の約2週間後、書面決議決定の約2週間後、認可決定の約2週間後 → 合計3回
- 自己破産:開始決定の約2週間後、免責決定の約2週間後 → 合計2回
一部の職業の制限を受ける
自己破産をおこなった場合、破産開始決定から免責決定を受けるまでの間、破産者となります。
保証人へ大きな影響がある
民事再生(個人再生)や自己破産をおこなうと、債権者の同意を得ることなく借金の減額・帳消しをおこなうことができます。
しかし、減額された分・帳消しされた分は、保証人に支払義務が生じます。債権者は保証人に減額された分・帳消しされた分の借金を請求します。
民事再生(個人再生)の場合は、借金の一部は主債務者が再生計画にもとづいて返済をしますが、それ以外の借金は保証人が返済をしなければなりません。自己破産の場合は借金の全額を返済しなければいけません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。債務整理、特に任意整理のデメリットについて紹介をしました。
任意整理のデメリットは下記のものです。
- ブラックリストに名前が載る
- 借金の免除はされない
- 任意整理に応じてくれないケースもある
- 保証人に影響がある
- 収入がなければ利用することはできない
- 和解成立後、もう一度任意整理をすることは難しい
- 140万円以上の借金があると司法書士を利用できない
このようなデメリットはあります。安定した収入さえあれば誰でもできるので、債務整理の中ではもっとも手続きが簡単です。ブラックリストに名前は載りますが、官報などに名前は載りません。安価でおこなえるので、債務整理の中で一番人気です。