任意整理をしてもETCカードは作れる!任意整理後にETCカードを作る方法

クレジットカードの追加カードであるETCカードは任意整理をおこなってしまうと、所持することが難しくなります。高速道路利用頻度が高いのであれば、現在はETCカードの利用は必須と言って過言ではありません。平成24年の時点では、すでに高速道路のETC利用率は88%になっています。ETC限定の割引サービスも料金制度もあります。

今回は任意整理後にETCカードを利用する方法について紹介します。

任意整理をするとETCカードを作ることができない

任意整理をすると、現在所持しているクレジットカードは原則として、すべて使用することができなくなります。任意整理の場合、一部の債権者を対象から外すことは可能です。しかし、その場合であっても任意整理をしたという事実は信用情報機関に記録され、すべてのカード会社で共有されます。

すべてのカード会社は信用情報機関であるCICやJICCに加盟しているので、任意整理の対象から外しても、任意整理をしたという情報は共有されます。

そのため、ETCカード付のクレジットカードは任意整理の対象から外しても、通常は3ヶ月に1回の頻度でおこなわれる途上与信のタイミングで利用停止になります。遅くても次回更新期限のタイミングで利用停止になる可能性が高くなるでしょう。

途上与信とは、クレジットカード会社や消費者金融がすでに契約している債務者の返済能力を調査するために、定期的に契約者の個人情報をチェックする審査のことを言います。カード会社は、利用期限の更新のタイミングや3ヶ月の1度などの定期的なタイミングで信用情報のチェックをおこなっています。さらに、途上与信は、法律で義務付けられているものもあります。これは法定途上与信といいます。貸金業法では、借入残高が10万円以上の債務者については、3ヶ月に1回の信用情報の調査が義務付けられています。

そして、一般的にクレジットカード会社は、ETCカードのみの発行はおこなっていません。ETC専用カードを提供しているので、任意整理をするとETC付きのクレジットカードを作ることもできなくなります。

concierge
一般的に任意整理をした事実は、信用情報機関に5年登録されます。結果、5年間はクレジットカードを新規で作成することが難しくなります。

高速道路を利用するならETCカードがないと不便

実際問題、ETCが、現在ほど普及が進んでいる中、ETCカードが利用できないというのは、不便であると思われます。すでに高速道路のETC車の割合は88%になり、大型車に関して言うのであれば、98%にも上ります。

また、ETC車には、現金払いでは受けることのできない優遇措置がいくつもあります。

たとえばですが、首都高速道路などは、ETC車向けに距離別料金制が導入されています。ETC車であれば、短い区間なら最低300円~で移動することができます。一方、現金車の場合では、移動距離に関係なく入口で一律1300円の料金を徴収されます。

また、NEXCOの高速道路でもETC車限定の割引サービスで、

  • 平日朝夕割引
  • 休日割引
  • 深夜割引
  • ETCマイレージ

といった、さまざまなサービスを用意しています。

しかし、現金支払いの場合、いずれの割引サービスも利用することはできません。

任意整理を利用した人が、クレジットカードの代わりに持つ「VISAデビットカード」では、前述した割引サービスを利用することはできません。前述した割引サービスが適用されるのは、セットアップされたETC車載器が搭載された自動車だけです。

そもそも、VISAデビットカードでは高速道路料金の支払いには使用することができないというところが多くなります。

VISAデビットカードとは、銀行などがおもに発行している「決済と同時に預金口座からその代金が引き落とされる仕組み」のカードです。クレジット(信用販売)機能はなく、立替払いはできなので、クレジットカードとは異なるものですが、決済そのものはクレジットカードと同じように使用することができます。

ETCパーソナルカードという選択肢

ETCパーソナルカードは、信販会社ではなく各高速道路会社が共同で発行しているETC専用カードです。実際問題、不便な点も多々あるカードではありますが、ブラック状態であっても所持することができるほぼ唯一のETCカードです。

ETCパーソナルカードの特徴と申し込み方法

ETCパーソナルカードのよくある誤解としてプリペイドカードであるというものがありますが、ETCパーソナルカードは、プリペイドカードではありません。

ETCパーソナルカードは、通常のクレジットカードと同様に、翌月の口座引き落としという後払いになります。その代わりに最初に保証金を預ける仕組みになっています。

ETCパーソナルカードの特徴

発行元

まず、ETCパーソナルカードの発行元は、NEXCO東日本・西日本・中日本、首都高速道路、阪神高速道路などが共同発行をしています。

保証金(デポジット)

そして、保証金(デポジット)が必要になります。これは、高速道路の平均利用月額の4倍の額(最低2万円~)平均利用月額は5000円単位で切り上げ、保証金は2万円単位です。

たとえば、

  • 平均利用月額3000円であれば:保証金は2万円
  • 平均利用月額1万円であれば:保証金は4万円
  • 平均利用月額1万3000円であれば:保証金は6万円

平均利用月額は自己申告になりますが、1ヶ月の利用金額が保証金の80%を超えた場合は、利用停止になってしまします。そのため、少し多めに入金しておかなければなりません。70%を超えた時点で、保証金の増額を求められます。

支払について

後払いで、翌月に銀行口座から引き落とし(保証金は高速道路料金には使えない)。

年会費

毎年、1,234円が年会費として発生します。

申込方法

  1. 高速サービスエリアの受付、または電話での申込書を入手
  2. 申込書に銀行口座や平均利用月額などの必要事項を記載し郵送
  3. 保証金の払込取扱票が届くので、コンビニ等で支払い
  4. 2週間後に自宅にETCパーソナルカードが届きます。その日から利用可能

与信審査

与信審査はありません。その代わりに保証金を納める必要があるのです。

利用停止について

  • 未払の利用金額が保証金の80%を超えた場合
  • 口座引落ができないなど、利用金額の支払がない場合
  • 利用額が保証金の70%以上に達し、保証金の増額に応じない場合

その他

平成28年7月に最低保証金額が2万円~に引き下げられました。その前までは、最低保証金は4万円~だったので、その時に比べると、発行のハードルは低くなったのではないのでしょうか。

また、以前は平均利用月額の4倍、そして過去12ヶ月の年間最高利用月額を比較して、高い方の金額を保証金の額にする方法を採用していたため、計算がややこしくなっていました。そのため、現在は単純に平均利用月額の4倍が保証金の額とわかりやすくなっています。

前述しましたが、平均利用月額について自己申告になります。ただし、保証金の80%の金額までしか使えませんので、保証金をわざと安く申し込んでしまいますと、実際に使える金額も減ってしまうので注意が必要です。

さらに、最低保証金の2万円で申し込んだ場合、利用額1万4000(70%)に達した時点で、追加で2万円の保証金の入金をもとめられます。この場合のみ、追加の保証金は口座から自動的に引き落とされます。

事業主ならETC法人カードやETCコーポレートカードという選択肢も

もし、個人事業主や法人であれば、高速情報協同組合のETC法人カードやETCコーポレートカードも利用することができます。こちらはクレジット機能のないETC専用のカードです。

このカードは審査がないわけではありませんが、クレジットカードではありませんので、信用情報機関に問い合わせるような審査はありません。信用情報機関であるCICにも加盟していません。そのため、任意整理をしてから5年間はETCカードを作ることができないという制限はありません。そもそも、ETCカードはクレジットカードの追加カードであり、法人カードやETCコーポレートカードはクレジット機能がついていないので、問題なく作ることができるのです。

審査の際には、所得税の確定申告書や商業登記謄本をもとに、高速情報協同組合が独自におこないます。収入があれば、ほぼ落とされることはありません。クレジットカードの審査よりも早く手元にETCカードが届くでしょう。

ETC法人カードの詳細

発行元

高速情報協同組合

費用

  • 出資金(脱退時に返金):1万円
  • カード発行手数料:1枚540円
  • 取扱手数料:1枚540円(年1回)
  • 手数料:毎月の走行金額の5%

支払方法

毎月20日ごろに請求書発送、翌々月8日に口座引落の後払い。

申込方法

  1. 専用の申込フォームから申込
  2. ETCカード申請書が後日、郵送で自宅に届く
  3. 必要事項(銀行口座など)を記入し添付書類とともに返送
  4. ETCカード申請書が郵送された際に振込方法も届くので、主資金1万円を振込
  5. 組合に書類到着後10日程度でカードができる

必要書類は下記のとおりです。

  • 所得税確定申告書(法人は商業登記謄本)
  • 個人事業税納税証明書
  • 車検証の写し
  • ETC車載器セットアップ証明書(写し)
  • 代表者の運転免許証の両面コピー

その他

出資金は組合に最初に預けて、脱退するときに返金されます。ETCパーソナルカードの保証金と同じものと考えて大丈夫でしょう。高速道路料金の支払には使いません。

初期費用が1万円弱で、追加で保証金を求められることもありません。平均利用額の4倍も預ける必要もないので、個人事業を営んでいれば、このETC法人カードの方が、ETCパーソナルカードよりもお得に作ることができます。

また、高速情報協同組合のカードでETCコーポレートカードも作れます。

ETCコーポレートカード

ETCコーポレートカードには、ETC法人カード似たようなものですが、2点異なるものがあります。

まず、ETCコーポレートカードは1枚につき登録した自動車1台にしか使用することができません。普通のETCカードのように、1枚で複数台の自動車に利用できるというものではありません。登録した自動車のみにしか利用することができないのです。

そして、独自の割引サービスがあります。大口・多頻度割引制度というものです。

大口・多頻度割引制度とは、大口・多頻度利用の方を対象にしたETCシステムの利用を前提とする高速道路の通行料金の割引制度です。大口・多頻度割引制度を利用するためには、東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社があらかじめ定める要件をみたしている方に「貸与」するETCカードです。

料金は1ヶ月分まとめて翌月末までに支払っていただくことになります。

割引の内容ですが、大口・多頻度割引には「高速国道の大口・多頻度割引」と「一般有料道路の大口・多頻度割引」があり、別々に計算されます。

まず、高速国道の大口・多頻度割引は、1ヶ月分のETCコーポレートカードによる高速国道利用額の合計に、車両単位割引、契約単位割引の2種類の割引の組みあわせをおこないます。

車両単位割引は、自動車1台ごとの1ヶ月の高速国道の利用額に対し、下記のように適用されます。

  • 5000円以上、1万円までの部分:10%
  • 1万円以上、3万円までの部分:20%
  • 3万円を超える部分:30%

そして、契約単位割引ですが、1ヶ月の高速国道の利用額の合計500万円を越え、かつ、契約者の自動車1台あたりの1ヶ月分の高速道路の平均利用額3万円を超える場合には、1ヶ月の高速国道の利用額の合計に対し、10%の割引をおこないます。

一般の有料道路の大口・多頻度割引ですが、割引は契約者が登録したすべての車両の1ヶ月のETCコーポレートカードによる、割引対象一般有料道路の利用額の合計に車両単位割引と契約単位割引の2種類の割引を組み合わせておこないます。

車両単位割引は、自動車1台ごとの1ヶ月の割引対象一般有料道路の利用額に対して、下記の割引率を適用します。

  • 5000円以上、1万円までの部分:10%
  • 1万円以上、3万円までの部分:20%
  • 3万円を超える部分:30%

契約単位割引は、1ヶ月の割引対象一般有料道路の利用額の合計が500万円を越え、契約者の自動車1台あたりの1ヶ月の割引対象一般有料道路の平均利用額が3万円を超える場合には、契約者の1ヶ月の割引対象一般有料道路のご利用額の合計に対し、5%の割引をおこないます。

ETCコーポレートカードが契約できない要件

  • ETCシステムを利用できない場合
  • 過去に通行料金などの支払いにトラブルがある場合
  • 過去に高速国道などのご利用で不適切な行為があった場合
  • 法人での申し込みの場合、カード割引のみを事業とするなど、他の事業の実態が見受けられない場合
  • 支払いの保証がない場合

ETCコーポレートカードの発行にかかる費用

  • 出資金:1万円(出資金は退会時に返金されます)
  • カード発行手数料:1枚あたり617円
  • 取り扱い手数料:1枚あたり617円(年に1回かかります)

申込み手順

  1. 利用申込書と添付書類を送付します。
  2. 申込資格の確認と車載器を持っているのかの確認があります。その後、申込受付結果が届きます。支払保証が求められるので、指定の書式に従って支払保証書を提出します。
  3. 保障の確認がなされると、ETCコーポレートカードとともに、保証預り証、カード発行通知が届きます
  4. カードの受取後のカード受取書を提出します。提出後、カードを利用することができます
必要書類ですが、

  • 申込者の法人登記簿(法人)
  • 申込者の印鑑証明
  • 保証人の印鑑証明(保証書によって支払いの保証をする場合のみ
  • 自動車車検証の写し
  • 事業免許証(写し)、運行経路、回数、停留所などを明らかにした書類(法人)
  • そのほか、必要と認める書類

まとめ

平成24年の時点では、すでに高速道路のETC利用率は88%になっています。ETC限定の割引サービスも料金制度もあります。そのため、任意整理をしてクレジットカード付のETCカードが使えないとなると、ETCの恩恵を受けることができません。また、さまざまなサービスを受けることもできなくなります。

では、任意整理をするとETCカードすべてが使えなくなるのかといいますと、ETCパーソナルカード・ETC法人カード・ETCコーポレートカードなどは利用することが可能です。

この3つのカードは、ブラック状態であっても関係なく作ることができます。個人事業主や法人の経営者であるのなら、ETC法人カードかETCコーポレートカードがおすすめです。

ETCコーポレートカードは、大口・多頻度割引というものがあり、利用すればするほど、割引率がアップするという独自のサービスを用意しています。ただし、ETCコーポレートカード1枚につき、指定した自動車1台しか使用することができません。この点はデメリットです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です